中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年08月12日
(1)信号機の故障と人為的ミスが複合して起きた7月23日の追突事故
(2)6月30日開業の北京・上海間高速鉄道の停電、遅延トラブル(車両の問題)
(3)北京・上海間高速鉄道での停電、遅延トラブル(給電設備の問題)
■独シーメンスベースのCRH380Bで故障が頻発
9日、中国北車は「自動保護システムの誤作動による遅延が起きる可能性がやや高いため、中国鉄道部運輸局に新規車両の出荷を一時中止するよう要請された」と発表
している。そして11日夜、中国北車側からリコールを申し入れ、すでに運行している車両も含めて改修が実施されることとなった。
北京・上海間高速鉄道で運用されている車両はCRH380AとCRH380Bの2種類がある。前者は日本新幹線をモデルに開発された車両で、中国南車が製造している。後者は独シーメンス社の技術を元に開発されたもので、中国北車の長春工場、唐山工場で生産されていた。
12日付財経網によると、CRH380Aの故障率は100万キロあたり1.46回。一方、CRH380Bは長春工場製が27.36回、唐山工場製が10.41回。7倍から19倍という故障率の高さだった。中国鉄道部の基準では、高速鉄道車両の故障率は100万キロあたり2回以下と定められている。
■リコールの影響
10日に開催された国務院常務会議で、中国高速鉄道の営業速度を減速する方針が決定された(参照記事)。16日から実施される新ダイヤ制定に向けて大混乱が続いていたところで、車両リコールという新たな衝撃が走った。
今回リコールされたCRH380Bは54編成に達する。北京・上海間高速鉄道の運行数は88往復から66往復に減少される。減少分を補うため、9月1日からは高速鉄道開業に伴い廃止されていた夕方発早朝着の寝台車を再開させることも決まった。現在、唯一運行されている北京・上海間の寝台列車は値段の安さから人気で、空席が多い高速鉄道を尻目に連日満席。「中国一、切符を買えない列車」と呼ばれていたほどだった。今回のリコールで「人気列車」が増発されるという、うれしい副産物が生まれたようだ。
ジャンボジェット機が離陸する速度が300kmと少し、
着陸時の滑走路の長さは?
しかも鉄道はジャンボジェットより遥かに重い
運転手が危険に気付いてブレーキをかけるという発想を捨てないとダメ
事故原因は車体より中国の鉄道システムにある