中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年08月14日
生中継は無理としても、チャイナヲチャの第一人者である矢吹先生に叩かれまくるっていいよね、と思ったので、企画が実現するといいのですが。まず私が予想してみます。ちなみに以前、李肇星の次の外相を予想して大外ししてますが、その頃よりは成長している、はず。
■政治局常務委員の変遷
1987年の第13回党大会から、過去5期の常務委員をリストアップしてみました(図1)。簡単に色分けしています。元々国家主席、全人代委員長、全国政治協商会議主席はそれほど序列は高くありませんでした。第二世代の生き残りで老害もいいところの李先念が国家主席、全国政協主席を渡り歩いていたのが最も象徴的で、名誉職の色合いが強い役職でした。
万里は80年代には副総理を務めていましたが、87年の十三大で全人代委員長に就任しています。この時点で齢70を超えており、第二線に退いてもらったと鄧小平も認めていました。
第14回党大会で、天安門事件で失脚した胡啓立に代わり、中央書記処を率いてきた喬石が全人代委員長となりました。
既に常務委員だった喬石の序列を万里と同じ政治局委員に落とすことは出来ないので、全人代委員長が常務委員から選出されることになりました。また、宣伝部門を担当していた李瑞環が全国政協会議主席となり、これまで名誉職だった「両議会議長」が常務委員から選ばれるようになっています。
また、江沢民の後継として鄧小平に指名された胡錦濤が、歴代2位の若さで常務委員入りし、中央書記処常務書記として帝王学の学習に入っています。
第15回党大会では、序列2位の李鵬が全人代委員長に任命され、総理と全人代委員長の序列が入れ替わりました。また、江沢民の後継者として常務委員入りした胡錦濤が国家副主席に任命され、これ以降国家副主席も常務委員から選ばれています。
江沢民が引退した第16回党大会では、新たに中央紀律検査委員会書記(呉官正)と中央政法委員会書記(羅幹)が常務委員から選出され、常務委員は9人体制となりました。
第17期も人数と構成を継承しており、第18期もこれが継承されるとの前提で考えていきます。前例から、党総書記、国家主席、中央軍事委主席、全人代委員長、国務院総理、全国政協主席、国家副主席、国務院常務副総理、中央精神文明建設委主任、中央紀律委書記、中央政法委書記が常務委員から選出されるわけです。
■来年争われる7つの椅子
常務委員に任期の制限はありませんが、党大会の時点で68歳以上だと続投は出来ません。これは十六大時点の李瑞環、十七大時点の曾慶紅がいずれも68歳であり、共に引退していることから、上記の定年があるのだと考えられています。
この内規に引っかかるのが、第17回党大会で中央委員から二階級特進した習近平と李克強以外の常務委員7人。7つのイスが空く算段となり、政治局委員がそのイスを確保しようと必死になっているわけです。
図2を参照してください。政治局委員は党大会の時点で63歳を超えていると、常務委員になるか引退の二択となります。判定が赤の6人は問答無用で引退ですが、緑は常務委員に昇格できれば政治生命が5年延長されます。ゆえに、このゾーンにいる8人は生き残りをかけてバトルを繰り広げているのです。
ですから次回もある汪洋や李源潮に比べて、ワンチャンスの薄熙来が必死なのはこのためです。
なお、第17回党大会で次期後継者の2人が中央委員から二階級特進を果たしているので、今回は中央委員からの抜擢はまずありません。ここ20年間で中央委員、中央候補委員から常務委員になったのは、朱鎔基、胡錦濤、習近平、李克強の4人だけ。
どれも後継者として強い「引き」があった人たちばかりですが、特進があった次の党大会では特進はありませんし、前回2人も同時に特進をやっているので今回は無いだろうというのが大方の見方です。
何度か書いていますが、国務院副総理として動いている李克強が次回の党大会で習近平を追い落とすには、自力では不可能です。習が1人で遠華密輸クラスの事件を起こすか、糖尿病で急死するかくらいでしょう。政治的に十七大で既に決着しているという考えには変わりはありません。
それでは肝心の顔ぶれはどうなのか。どうしても埋まらないポストがありましたので、次回に持ち越しとさせてください。
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。