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2011年08月16日
■政府側で反日世論をコントロール
日本開拓団記念碑撤去事件前後のメディアの論調は大変興味深いものでした。ペンキをかける騒ぎがあった時は、中国メディアは主に日本人開拓団が同地にあるいきさつを説明し、「日本の侵略主義」を強調する論調だったのですが、方正県政府が碑を撤去した後は、明確な理由もないまま撤去した県政府に批判の矛先が向いていました。
8月15日は、ただでさえ反日世論が高まる時期です。メディア、そして世論をコントロールしなければ、反日世論が暴走したまま、15日に突入するということになります。これはいささか「危険」な事態であろうと、政府が判断したがゆえの方針転換なのではないでしょうか。
結果、15日を前にして騒動はおさまり、反日世論の高まりは極力抑えられたと言えます。ただ、中国メディアには、とげを含んだ記事がいくつか見受けられました。「都市快報」は、15日の戦没者追悼式典に出席した天皇陛下が、「ここ数年と違い、第2次大戦中に日本がアジア各国人民にもたらした災難に対してお詫びの意を表明しなかった。また第2次大戦中における責任についても言及しなかった」と批判的に報じています。
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。