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まだまだ続く故宮のスキャンダル=今度は「清朝近衛兵の鎧を布団にしていた」事件

2011年08月17日

世界最大の皇宮・紫禁城。この世界遺産を管理する故宮博物院が大変なことになっています。本サイトでも、3本も記事を書いてきました。

故宮からお宝を奪った怪盗登場?!いいえ、たんなるザル警備です―中国北京市
世界遺産・故宮の中に外国人向け高級クラブがあった?!有名アナウンサーが煽る排外主義―中国
「収蔵品をうっぱらちゃいました♪」不祥事続きの故宮博物院に特大級のスキャンダル

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鳳凰網の報道。

ですが、スキャンダルの嵐はこれだけじゃ全然追い切れていないのです。財新網が「故宮蒙塵」という超重量級の特集を組んでいるのですが、

・国宝の皿、割っちゃった
・つーか他にも壊してたけど黙っていた
・そういや屏風も修復失敗してぶっ壊していたのを隠していた
・実は木造宮殿がシロアリに食われまくっている
・補修工事しているけど、補修っていうか、むしろ文化遺産の破壊って感じかな……
・入場料、ガイドと警備員が横領していた
・2009年に横領がばれそうになったんで、記者に口止め料渡してごまかした
サーチナ

などなど、痛いところをつつかれまくりで、故宮がかわいそうなほど……。それだけ闇が深いということではあるのですが。さて、もうさすがにヤヴァイことはもう全部出尽くしたかなと思っていたところで、また一つ、特大級スキャンダルが浮上しました。といってももう40年近くも前の話なのですが……。


以下は主に2011年8月16日付発展導報を参照しました。

2010年4月、上海常源祥博物館に綿布団10点が寄贈された。もちろんただの綿布団ではない。清代は乾隆年間に作られた御林軍(近衛軍)の鎧の中身を使って作られたものだ。貴重な文化財がなぜ布団になってしまったのか?寄贈者の曹静楼さんは元故宮博物院職員。この貴重な文化財がなぜ布団になってしまったのか、そのエピソードを話してくれた。

1973年、文化大革命の最中、中国の市民は物資欠乏に苦しんでいた。故宮博物院の職員も例外ではない。そこで1着0.5元という破格の値段で、職員に売却することが決まった。購入できるのは1人あたり5着まで。曹さんは妻も故宮博物院で働いていたため、2人で計10点を購入。家に持ち帰った後、博物院の規定どおり、「原型をとどめないほどばらばらに」して、中の綿をつなぎあわせて布団にしたという。

貴重な文化財を壊すようなことは、良心のある専門家にはできようはずもない「悪業」だが、当時は文化大革命の影響で、知識人や専門家のほとんどは農村に送られていた。故宮博物院に残っていたのは文化財に興味がない政治屋ばかりだったという。

曹さんも布団にしてしまったが、今まで大事にとっていた。しかし、他の職員に与えられた鎧は布団や外套に姿を変え、最終的にはゴミとして捨てられてしまった。

故宮博物院が保有していた御林軍の鎧は2万着あまり。うち3000着が職員に販売されたほか、1000着が映画製作所・八一電影制作厰に売られたことも分かっている。

38年前の問題が1年前以上前に発覚。最近の故宮博物院バッシングの中で蒸し返されたという寸法。文化大革命がもたらした破壊は信じられないほど大きく、2万着もある鎧がちょっとぐらいなくなったって不思議なことではありません。

とはいえ、「良心ある人々はすべて放逐されていた」というエピソードは、なんだかんだいって衝撃的ではないでしょうか?そして、「故宮ビジネス」に精を出し、貴重な文化財をぶっ壊してもだんまりを決め込んでいるという現状を考えると、文化大革命が終わった後にどれだけの良心を取り返せたのか、改めて問われる時期がきているのでしょう。


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