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2011年08月20日
車を運転していた許雲鶴さん。柵を乗り越えようとしたおばあさんを見てびっくり。あわててブレーキをかけた。許さんは「ぶつかる前に停車しましたが、おばあさんは柵から落ちて転びました。慌てて運転席から下りて絆創膏を持ってかけよりました」と話している。一方、王さんの主張は「車が衝突して怪我をした」というもの。両者の主張は真っ向から対立、裁判沙汰となった。
今年6月16日、紅橋区人民法院は判決を言い渡した。曰く、「例え許雲鶴の供述通り衝突はなく、原告の王さんが自分で転んだのだとしても、許雲鶴の車が接近してきてパニックになったと言える」として、許雲鶴さんに賠償金10万元(約120万円)の支払いを言い渡した。許さんはこれを不服として上告。8月22日より天津市中級法院で第二審が開廷する。
■ネット民が注目する理由
8月16日、この裁判に関するネット掲示板の書き込みが登場。たちまち話題となった。「例え衝突していなくても運転手が悪い」という判決だけではなく、以前から繰り返されてきた「善人が損をする中国社会」に新たな事例が加わったというのが反響を呼んだポイントだ。
「善人が損をする中国社会」とはなにか?網易が「『人助けを喜びとする』ことになぜリスクがあるのか?」という特集を組んでいるので、こちらを参照して説明したい。
・彭宇事件
「人助けは危険だ」という風潮。その発端となったのは2006年12月に南京市で起きた彭宇事件だ。バス停で転んだお婆さんを助け起こし、病院まで連れて行ってあげた好青年・彭宇くん。ところがお婆さんは彭宇くんが突き飛ばしたと主張。裁判の末、「優しく助けてあげたのはやましいところがあったからじゃね?」と彭宇くんに約4万6000元(約55万円)を支払うよう命じる一審判決が下った。「人助けしたら賠償金かよ!」と世論は強く反発。その後押しを受けて二審が始まったが、和解で幕を閉じた。その条件については明らかにされていない。
・李凱強事件
2008年8月、鄭州市で電動自転車に乗っていた大学生の李凱強くんは、おばちゃんが乗っている自転車にぶつけられた。転んだおばちゃんを助け起こした李くんに、「ぶつかってきたのはあんたでしょ!」と主張し、裁判ざたに。一審判決ではおばちゃんが勝訴。李くんには約7万9000元(約95万円)の賠償金が科された。李くんは上告し、いまだに決着していない。
・落とし物を届けたら犯人にされた事件
2009年11月、淮安市で起きた事件。1700元(約2万400円)の現金をひろった59歳の周翠蘭。豆餅(大豆しめかす)を売り歩く貧しい生活をしているが、お金をネコババしようともせず、落とし主を捜し出して返却。ところが落とし主は全部で8200元(約9万8400円)あったはずだと主張。裁判になった。裁判官の調停により、原告の告訴撤回で決着している。