中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年08月23日
■国の強力なバックアップ、関連企業に600億円を支給
中国工業情報化部電信研究院が今年5月に発表した「モノのインターネット白書」(中国語、PDF)では、2015年末時点で市場規模を5000億元(約6兆円)超と推計している。この巨大な市場をいかにスムースに誕生させていくのか、中国は国が強力にバックアップすると見られている。
「モノのインターネット」第12期5か年計画では、スマートグリッド、スマート交通、スマート物流、スマート家具、環境・安全検査、工業・自動化コントロール、医療健康、農業・牧畜、金融・サービス業、国防軍事が重点分野に指定される見通し。モデルプロジェクトを50、モデル都市を5~10都市、制定すると見られている。
また関連企業に対して、今後5年間で50億元(約600億円)の資金援助が実施される。今年分の5億元(約60億円)については600社以上の申し込みがあり、うち100社程度が認可された。単純計算で1社あたり6000万円を得た計算だ。
■「モノのインターネット」バブルがやってくる?
莫大な投資が必要となる「モノのインターネット」。うちも分け前にあずかれるのでは、と中国内外の企業が期待を示す一方で、政府旗振り型の開発がバブルを産み、ガラクタの山を作り出すだけで終わるのではとの懸念も少なくない。
(参照記事:「モノのインターネットブーム インターネット・バブルの二の舞?」中国網、2010年5月18日)
「中央政府のGoサインが出たぞ、そらいけっ」と各地方が飛びつき、過当競争を生み出す構図は、これまで鉄鋼、テレビ、エアコン、自動車、太陽電池……と多くの分野で繰り返されてきた。「モノのインターネット」についても、各地域はすでにやる気まんまん。新産業の覇者となるべく牙を研いでいる。
これまで、何度となく繰り返されてきた投資バブルと過当競争の罠に落ち込む条件はすでに整っているようにも見えるが……。