中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年09月01日
■2011年9月1日追記
レアメタル紛争、中国がWTOに上訴日経新聞、2011年9月1日
レアメタル(希少金属)の輸出規制をめぐる通商紛争で、中国は8月31日、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)の報告書を不服として、紛争処理機関に上訴した。
24日の記者会見では、ニューヨークタイムズ記者から、「WTO裁定に上訴するのか、レアメタル同様問題となっているレアアースについてもWTO規定に違反している恐れはないか」との質問を受け、沈報道官は「上訴する。中国の政策は協定違反ではない」と短く答えた。
上訴して裁定がくつがえる見込みは少ないように思われるが、少なくとも時間を稼ぐことは可能だ。日本の昭和電工など輸出規制に苦しむ外資系企業の中には技術流出リスクがあることを理解しつつも、中国工場の増強を決めたところも出始めている。時間を稼げば稼ぐだけ、兵糧攻めは効果をあげることになる。
■ニュース・ピックアップ
Chasing Rare Earths, Foreign Companies Expand in China(Herald Tribune、2011年8月24日)
日本の昭和電工や三徳、米国のIntermatix社は中国での生産を増強。
タッチスクリーン用最高級ガラスやプロレベル用カメラレンズの生産も中国にシフト。
Intermatix社担当者「コストではなく、レアアース確保のために中国工場を増強する。問題は中国政府が何を望んでいるかです。」
中国、WTO指摘に上訴へ レアメタル輸出制限で(朝日新聞、2011年8月24日)
中 国は、資源と環境の保護を理由に、レアメタルやレアアースなど鉱物資源の輸出や生産の数量を管理、制限している。7月に出されたWTOの報告書は、輸出に 比べて生産に対する規制が甘く、外国企業に不利な措置とみなした。レアアースを安定的に調達するため、日本企業のなかには産地である中国に工場を新設する 動きが出ている。
レアアースを安価で入手したい日本企業と先端技術を狙う中国(サーチナ、2011年8月16日)
レアアース磁石用合金を製造する昭和電工株式会社はこのほど、中国にある合併会社の生産能力を拡大する方針を明らかにした。報道によると、昭和電工は同合併会社の生産量を5割増やし、レアアース磁石用合金の年間生産量を3000トンに増やす方針。「これは合理的な選択」と昭和電工は表明している。
兵糧攻めも苦しいかもしれないけど、こんな手法を恥ずかしげも無くとる中国、移転した工場ごと盗られる可能性も考慮すべきじゃないかな?