中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
中国では9月、10月が不動産販売のピークで、「金九銀十」という言葉があるほど。業者もこの時期に販売開始を合わせてくるだけに、新築商品住宅在庫は8月末から9月には11万戸の警戒ラインを突破するだろうと、観点地産網は予測しています。
不動産業者の資金繰りが悪化すれば、赤字覚悟の住宅たたき売りが始まるのも必至です。ひとたび価格が急落すれば、消費者はさらに様子見を続け、販売数がさらに悪化する泥沼的悪循環を迎えることになります。そうなってしまえば、「日本がバブル崩壊後に歩んだ道に一直線」でしょう。
■制限政策の有無で生じる都市ごとの価格格差
ただし、以前の記事でもご紹介したとおり、住宅価格は全国一様に下落しているわけではありません。地方の二線都市、三線都市の中には住宅購入制限政策を実施している都市もあれば、していない都市もあります。そのため住宅価格の都市間格差が大きくなっているのです。開発業者や投資家は制限政策を導入していない都市を選んで重点的に投資する動きを見せています。
(前回記事:「あいまい規定で価格抑制策の足並みそろわず=2線・3線都市の不動産高騰―翻訳者のつぶやき」 KINBRICKS NOW、2011年8月27日)
■国務院が住宅購入制限措置の指定基準を発表
こうした動きを重く見た中国住宅・都市農村建設部は、17日、住宅購入制限措置導入の実施基準を発表しました。
・6月の新築住宅価格指数の前年同月比で伸びている。あるいは1月から6月までの月別に見た新築住宅価格指数の伸びが比較的高い都市。またはランキングで上位に位置する都市。
・6月の新築商品住宅価格が昨年末比で、住宅価格抑制目標を上回っている都市。また目標に接近している都市。
・1月から6月までの新築住宅の成約戸数が前年同期比で比較的急速に伸びている都市。
・すでに住宅購入制限措置を導入した都市の周辺に位置する都市。住宅購入者に占める市外出身者が割合が高い都市。
・住宅価格の伸びが過度に急速だったり、調整政策が不十分などの際立った問題を抱え、社会からの強い訴えがあった都市。