中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年08月27日
■有線テレビ放送法改正案のその後
最もその後の動きは報じられていないので、法改正案の議会提出はできなかったようだ。8月2日付ゆかしメディアが「台湾メディアなどによると、台湾与野党立法委員が韓国、中国、日本など外国の番組を台湾で放送することを規制する法案が国会に提出され、政府官僚らが相次いで支持を表明しており通過する見込みだという」と報じているが、ざっと見たかぎり、7~8月にそうした動きがあったとの報道は見つけられなかった。
ちなみに今年1月の林淑芬提案だが、台湾での嫌韓ムードの高まりを反映していた。昨年11月の広州アジア大会でテコンドー台湾代表の楊淑君選手が失格処分となったことをきっかけとした台湾の嫌韓ブームだが、今年1月時点でもかなり薄れていた印象。現在ではなおさらではないだろうか。
■韓流ドラマしか流さないテレビ局に当局が改善命令
だが、先日来、また違った文脈での韓流ドラマ問題が取りざたされるようになった(2011年8月4日付民視)。8月初頭、台湾国家通信放送委員会(NCC)は各テレビ局の免許更新審査を実施したが、東森ドラマ局が放送する番組はなんと99%が韓国ドラマであることが判明した。上述のとおり、有線テレビ放送法では放送時間の20%は台湾制作にするよう求めている。
東森ドラマ局はこの規定を大きく割り込んでいるばかりか、残る1%の台湾番組も他局放送済みの再放送番組だったという。NCCは来年3月末までの改善を命じ、対応できなかった場合は許可証を取り消すと表明している。他のドラマチャンネルでもここまでの比率ではないが、韓流ドラマの割合が高いことが話題となった。
ヤフー台湾では「韓国ドラマの比率を引き下げよというNCCの命令に賛成しますか?」とのネットアンケートを実施したところ、79.5%が賛成と回答している。
■多チャンネル時代の悩み
さて、台湾の韓国ドラマ問題だが、最大のポイントは「ちゃんと番組を作る金がない」という点だろう。ケーブルテレビが普及した台湾では、ドラマ専門チャンネルの乱立も含め、チャンネル数が急増した。増えた放送時間を埋め合わせるだけの番組はとても作れない。そのため「そこそこ安価で、そこそこ評判がいい」韓国ドラマの大量輸入につながったようだ。
もちろん、米国ドラマ、日本ドラマ、タイドラマといろいろあるなかで、韓流が目立つのはそれだけ韓国が売り込みに成功しているということもあるのだろうが。
(最近、中国本土ではタイドラマが人気だという。参照記事)
NCCが懸念するポイントも放送される番組が海外製ばかりになると、台湾の番組制作業界が滅んでしまうのではないかという点にある。かつては中国本土へのドラマ輸出が絶好調だった台湾も、最近はヒット作がなく、逆に「新環珠格格」など輸入された中国本土ドラマが人気だという。
人口2300万人と台湾の市場は決して大きなものではない。多チャンネル化時代を迎えた今、どのようにして予算を確保した高品質の独自番組を制作するのか。一朝一夕では解決しない悩みとなっている。
でも日本と違って、意図的としか思えない親韓、反日(この場合は反台か)の偏向報道や番組進行がないだけ反発も少ないのだろうけど。