中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年08月30日
■体中めった切り
「体中血だらけで、見るに耐えませんでした」と遺族は話している。遺族によると、傷は首に4個所、うち1個所は気道に達している。左手の傷は骨に達し動脈を立っているほど深いもの。右手にも傷があるほか、腹部にも3個所の傷があった。
汚職絡みの調査にたずさわっていたこと、複数の致命傷となりえる傷を含む10個所以上もの刀傷を受けていたことを考えると、「他殺ではないのか。汚職事件絡みで殺害されたのではないか」と誰もが思い浮かぶところ。ところが県政府の発表は意外にも「自殺」だった。
■政府発表を信じられないと遺族
謝主任以外がオフィスに立ち入った形跡がないこと、争った様子が見られないこと、傷は自殺の特長に符合したものとの検死結果がでたことが理由とされている。傷も遺族が言うような複数の深い傷はなくほとんどが浅いもの。胸骨上の傷が致命傷となり、出血性ショック死したと説明されている。
29日夜には県政府による記者会見が予定されていたが、中止となった。謝主任の遺族が会場に乗り込み、「自殺説はおかしい」と主張し、騒動となったためだ。
確かにここまで条件がそろうと、自殺とはなかなか信じられないのは道理だろうか。なお湖北省では6月にも汚職捜査を担当していた官僚が不審死した事件があった。利川市の汚職取り締まりの責任者だった冉建新氏だが、逆に収賄容疑で拘束され、取調中に死亡したというもの。自殺の発表に憤った市民が抗議デモを展開、関係者が処分される騒ぎとなった。
(参照:「自殺、心中、突然死……取り調べ中に謎の死を遂げた官僚10人―中国」KINBRICKS NOW、2011年7月6日)