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【追記】南京で少女を人質としたバスジャック事件=野次馬記者とマスメディアの連携―江蘇省

2011年08月31日

2011年8月30日、江蘇省南京市でバスジャック事件が起きた。報道が錯綜しており、確定的な情報ではないが事件のあらましは以下のとおり。

■2011年8月31日追記(財経網
詳報が出たので追記する

30日正午ごろ、南京警察は寧波警察の通報を受けた。27日に寧波市で発生した殺人事件の容疑者4人が乗ったバスが南京市を通過するという。

午後1時、警察は南京市長江三橋の料金所で問題のバスを発見。ただちに乗り込んで検査したところ、容疑者の一人・楊兵(32歳、重慶市出身)が刃物を抜き、9歳の女の子を人質にとった。また男性乗客の一人にバス後部を見張るよう命じたという。その他の乗客は非難した。

専門家、特別警察が現地に集結。投降するよう説得したところ、3人は自主的にバスを降りたが、女の子を人質にとった楊兵だけは説得を拒んだ。午後3時15分、楊兵は激高し人質を傷つけるそぶりを見せたため、警察は発砲。突入した。人質2人は無事に救出された。

事件当日、マイクロブログでは負傷者がでたとも報じられたが、南京市公安局江寧分局はこの情報を否定している。

20110830_nanjing1
*画像は市民記者(?)がiPhoneで撮影した現場写真。連行される犯人。


現場となったのは南京市長江三橋北側の料金所。犯人は27日、浙江省寧波市で殺人事件を起こした犯人4人組の1人だった。安徽省行き長距 離バスに乗って移動中に南京市で発見されたものとみられる。4人組のうち3人は自らバスを降り逮捕されたが、残る1人は少女を人質にしてバスに立てこもっ た。交渉の末、最終的に警察隊が発砲。犯人を拘束した。人質の少女も解放された。


さて、今回の事件できわめて興味深かったのが、「野次馬によるマイクロブログ実況とマスメディアの連携」が実現したことだ。

最も反応が早かったのがラジオ局・937江蘇新聞広播の新浪微博アカウント。午後2時に長江三橋渋滞のニュースをリツイート。午後2時26分にはバスジャックと現場封鎖を発信。記者を現地に派遣すると明かす。情報源は一般市民の通報だったようだ。

その後も最新情報を流していくが、自社の取材情報、他のマスメディアのリツイート、そして野次馬の現場レポートをおりまぜていた。午後3時35分には人民網も速報記事を流しているが、江蘇新聞広播のつぶやきをまとめただけのものだった。

高速鉄道追突事故でマイクロメディアの情報力が注目されたが、今回はお上に逆らわないネタで、マスメディアと野次馬(一般市民)の連携が実現した形となった。誤った情報も混じるなど(現時点でも情報の正確性には疑問が残る。南京警察の公式発表待ち)怪しげなところも少なくないが、それでもスピーディーかつ臨場感ある実況には、正直いって興奮させられた。

携帯電話が1台あれば誰でも記者になれる時代……は全世界共通だが、マスメディアが著作権とか許諾とかあるいは誤報の可能性を気にせず、つぶやきを引用して記事を作ってしまうのは中国特有の現象だろうか。問題は多々あるが、改めて面白い時代に生きていると感じさせられる事件となった。


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