■日本の首相交代を中国はどう見ているのか■民主党の野田佳彦氏が8月30日、日本の第95代首相に選出されました。菅直人首相選出時と同じように、中国のテレビ、ラジオは大きな扱いでこのニュースを報じています。
29日の民主党代表選、30日の首相指名選挙を中央テレビは同時通訳者も使ってライブ中継したばかりか、「東方時空」「新聞1+1」「環球視線」など報道討論番組はこぞって野田氏の党代表、首相選出を扱い、ここ2日間は「日本の話題一色」という印象を受けました。

*新華網の報道。*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。
■中国メディアが注視する「保守思考」
中国のテレビ・ラジオや各メディアが野田氏にまず注目したのはやはり、同氏
の「右翼的発想」でしょう。
「靖国神社のA級戦犯は戦争犯罪者ではないと述べた」
「釣魚島(日本名:尖閣諸島)が日本の領土であると確認するための国会動議を提出したことがある」
「憲法を改正して、日本の集団的自衛権行使を肯定しようとしている」
各メディアは、上記野田氏の「言葉」や「行動」を紹介して
強硬派だとの見解を示しています。「民主党の小泉だ」と評したメディアもありました。
■野田は民主党の小泉か?ただ、この「野田は民主党の小泉」という論は、メディアや評論家によって意見が分かれています。
29日の「環球視線」では、宋暁軍特約評論員が「彼が軍出身(正確には野田氏の父親が自衛官)であり、軍事面では前原氏よりも熟知している」と警戒感を示し、小泉氏と同じように強硬派であるとの論を主張しました。
一方、同席した高洪・社会科学院日本研究所副所長は、「野田氏は確かに自民党政治家と同じ政治的特徴を備えているが、個人的には小泉氏とは違うと考えている」と持論を展開。既存のモノを破壊した小泉氏とは違い、伝統的なもの(すなわち現状維持の日中関係)を重視するとの考えを示しました。
■野田新首相に対する「期待と警戒」前原氏が外相に選出されたときには、各メディア、各評論家はこぞって前原氏の言動に警戒感を示しました。これと比べても、野田氏に対しては期待と警戒が入り混じった感情であると推測できます。
また小泉政権後に5人もの首相が短命に終わっていることを紹介し、「野田氏は『次の短命な首相』になってしまうのか」とまで踏み込んで報じるメディアまであります。「日本に安定政権が登場するのはまだまだ先」というのが、中国メディアの認識のようです。
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。