中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年08月31日
「日本人は、もったいない!こんなに海がすぐ近くにあるのに、全然泳がないなんて」
■水が冷たくてもおかまいなし
水が多少冷たくても、外が多少寒くても、せっかく海があるんだから泳がなきゃ!!!と彼らは思っていたようです。多分ほとんどのロシア人は同じ状況にいれば泳ぐと思います。そういえば、トルコのホテルスタッフからも同じ話を聞きました。
свобода! / antonkudris
「5月の頭や9月の終わりごろ海で泳いでいる人を見かけたら、ロシア人だとすぐにわかる。寒くなると他の国の人は泳ごうとしないからね」と。
ロシア人の皆さんが泳いでいるのは、寒さに慣れているということもあるでしょうけれども、何より海がうれしくてしようがないからだと思います。島国で暮らしている日本人の中で海を見てそこまで興奮する人はまずいないと思います。
■ロシア人の夏の海への憧れ
ロシアの町のほとんどは内陸にあり簡単には海まで行けません。町を川が流れる場合が多いですけれども、一年の半分以上寒いので泳ごうにも泳げない。そういう事情もあり、ロシア人が夏の海に対して抱いている憧れは格別だと思います。
ちなみに、この憧れは昨日に始まったことではありません。社会主義時代、一般の人は海外に出られませんでしたけれども、夏になるとみなさん黒海などの国内の海を目指して大移動していました。今は、夏休みにトルコをはじめ、エジプトやギリシャ、スペイン、イタリア、ブルガリヤなどの海のある国に出かけるロシア人が多くなりましたけれども、国内の黒海へ行く人が今もいます。
■丸一日以上かけ向かう黒海へのバカンス
ニジニ・ノヴゴロドから夏の間だけ、黒海まで長距離バスが走っています。私の同僚の一人は毎年このバスを使って、黒海へ行きます。「たったの24時間で到着ですよ~」と今年も余裕の表情。ただ、失敗もあります。去年は異常に暑い夏でしたけれども、エアコンのないバスに乗ってしまいかなりハードな旅をしてしまったらしいです。経験から学んだ彼女は、今年はバスを選ぶときに「エアコン付き」に限定したそうです。
より大きな地図で ニジニノヴゴロド→黒海 を表示
もう一人の同僚の家族は休みの間に特に出かける予定がなかったのですが、二日間家でゴロゴロして、「これじゃつまらない」と急に思い立って家族で車に乗り込みそのまま黒海まで直行!行きは休息を入れて36時間。帰りはほとんど休息なしで24時間でした。現地で過ごしたのは5日間だけでしたけど、小麦色に焼けて満足そうな顔で出社してきました。
Anapa - Jemete / Kaensu
*黒海沿岸のリゾート地アナパ。
実は、ロシア人でありながらこのタチアナは一度も黒海に行ったことがありません。小さいとき夏休みの行き先は、バイカル湖のキャンプか、キーラフの近くにある母の実家のどちらかに決まっていました。黒海を一度も見たことがないロシア人はかなり珍しいと思います。
■初めて海を見たのは日本
そして、タチアナが初めて海を見たのは、日本に行ったときです。日本海の広さについては「バイカル湖とそう変わらない」と(偉そうに?)思ったことを今でもよく覚えています。そして、泳いでみたらなんだか物足りない。バイカル湖やシベリアの川は、夏でも水が冷たくて、入るにはコツが要ります。「いちにのさん」で一気に入らないといつまでたっても入れなくなってしまうのです(なんだかウォッカの一気飲みみたい)。
Sunset on Lake Baikal / Sergey Gabdurakhmanov
*バイカル湖。
ところが夏の日本海は暖かくて、私は普通に歩いて水の中へ入れました。「で?お風呂とどう違うの?」とタチアナの頭の中ではてなマークが並びました。シベリア生まれ育ちの私にとって「泳ぐ」ことはイコール「冷たさの刺激を受ける」ことだったのです。
■ロシア人の海の常識!?
ほとんどのロシア人が信じている常識があります。
海辺の空気も海水も非常に体にいい。
海辺で休みを過ごせば冬に風邪を引かない。