■獄中23年のチベット人政治犯 容態悪化■9月2日付け
RFA英語版に、現在チベットでもっとも長期に渡り獄中にあるロブサン・テンジン氏に関し、「政治犯なのか?殺人犯なのか?雲の下で死と戦うチベットの囚人」という記事が掲載されている。彼は今年で23年間獄に繋がれ続けている。
TCHRD(チベッ人権民主センター)によれば、彼は長年受け続けてきた拷問の上に糖尿病を患い、最近は視力が極端に衰え、ほぼ盲目に近い状態になっていると言う。さらに拷問により腎臓を病み、足も痛め、立ち上がることも困難な状態という。

■警官殺害容疑での無期懲役ロブサン・テンジン氏は1988年に、ラサで起こった大きな抗議デモの際、他の5人のチベット人とともに、デモ参加者を撮影していた警官に暴行を加え窓から落とし殺害したとして死刑を宣告された。彼はその時22歳であった。TCHRDによれば、死刑を宣告された後、国際人権機関の強い圧力により無期懲役に減刑された。
*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。
■明らかにされていない裁判内容
確かに、殺人罪というのが当局により彼に与えられた罪状だ。しかし、逮捕時の状況も裁判の状況も明らかにされていない。平和的抗議活動を撮影していた武装警官隊の将校を誰かが殺害したことは知られている。
また一方、容疑者とされた5、6人のチベット人の内の一人が後にチベットを離れ、容疑者とされる全員が事件に関わっておらず、無実であると証言しているということも知られている。
とITC(国際チベットキャンペーン)のスポークスウーマン、ケイト・サンダー女史は語る。さらに「ロブサン・テンジン氏はラサの多くのチベット人により非常に尊敬されており、多くの人々が彼の苦境を心配している」と言う。
■「裁判は完全に不当なものだ」中国人警官殺害事件に関し、テンジンや他のチベット人がどのような役割を担ったのかについては、依然明白ではない。
本当に何があったのか?彼らは本当に有罪なのか?について今まで誰も明らかにしていないのだ。もちろん裁判は完全に不当なものだ。だから分からない。分からないとしか言いようがない。
ただ、早い時期の北京に対するチベット人の闘争において、テンジンが理論的指導者、活動家として重要な人物であったということだけは確かな事だ。もしも逮捕されていなかったならば、彼は非常に重要なリーダーとなっていたことであろう。
とコロンビア大学近代チベット学プログラム主任であるロバート・バーネット教授は語る。
■2012年に釈放予定も……
現在彼はラサ近郊にあるチュシュル刑務所に収監されている。逮捕された時、彼はラサ大学の学生であった。獄中にあり、死刑宣告を受けていたにも拘らず、彼はダプチ刑務所内で抗議デモを先導し、されに「チベット独立雪獅子青年隊」という政治結社を組織した。
1991年、在中国アメリカ大使ジェームス・リリー氏がダプチ刑務所を視察に訪れた時には、他の囚人とともに彼に「チベットの政治犯リスト」を渡そうとした。もちろんこの後、彼は激しい拷問を受け、無窓独房に入れられることとなった。
1994年、刑期が減刑された。2012年に解放されるはずである。長期に渡る厳しい拷問と獄中生活に晒されながらも、その勇敢な行為により、他の政治犯たちを鼓舞し続けてきたテンジン。だが、刑期終了を前に彼の容態は危険な状態に陥ってしまった。
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オンライン嘆願書(Free Tibetan Heroes)*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。