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中国の「赤ちゃん」の今=性別比、障害児、乳児死亡率―政治学で読む中国

2011年09月10日

■中国保険統計3題■

中国新聞網が保健統計に関するニュースを数点掲載していました。9日の中国衛生部定例記者会見で発表された統計を紹介するものですが、今日はこれを取り上げます。

■1:男女比


中国出生人口性别比失衡 养儿防老有直接影响」(バランスを欠いた中国の性別比出産数=「老後のための子育て」に大きな影響)によると、新生児の男女比は1.18対1。女児と比べて男児のほうが2割程度多いことを意味しています。ただ、中国の小学校のクラス集合写真を見ると1.5対1くらいの比率も少なくありません。


孩子 / 大杨


この記事では衛生部による原因分析も紹介しています。それによると1、伝統概念(「男を重んじ、女を軽んじる」や「跡継ぎがないことが最大の親不孝」)。2、農村における社会保障の不十分さ(そのため、息子に親の面倒を見させる)。3、現実問題として社会には男女差別があること。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


中国衛生部は性別比の偏りには3つの要因があると分析しています。

(1)「伝統概念」(男を重んじ女を軽んじる、跡継ぎがないことが最大の親不孝)の影響。
(2)農村における社会保障が不十分なため、面倒を見てもらうため嫁に行く娘ではなく、息子が欲しい。
(3)社会には依然として男女差別があること。

これらの要因により、男児を欲しがる親が多いそうです。中国では超音波検査による胎児の性別確認は禁止されていますが、実際には横行しており、女児とわかると中絶するケースも少なくないと指摘しています。現代日本人には理解しにくいかもしれませんが、中国人は男の子が生まれると本当に大喜びします。

ただ、息子ならば親の面倒を見てくれるかというと、必ずしもそうではありません。個人的には女性の方がまだ親孝行の気持ちを強く持っているようにも主のですが。またこれだけ男女比が開いてしまうと、結婚相手を捜す意味でも女性の方が有利ではないかと思うのですが、どうでしょうか。


■2:先天異常

中国是出生缺陷高发国家 先天残疾儿童近120万」(先天性障害児の出産率、中国はハイレベル=年間約120万人の障害児が誕生)という記事もありました。

毎年20~30万人の肉眼で確認できる「先天畸形儿」(先天性障害児)が誕生しているとのこと。出産から数ヶ月後、数年後に障害がわかるものを加えると、年80万~120万、全体の4~6%に相当します。妊婦に対する葉酸服用の推奨、様々な健康教育により先天性障害児の出生率が下落しているとのことですが……。なお日本では1.8%という数字がありました(2006年)。中国は2~3倍という高水準だということがわかります。

環境汚染が先天性障害児が増える要因になっているとの記事を目にしたことがありますたが、大気汚染や食品安全問題のニュースがこれほど多いことを考えると、真実味を感じます。もっとも専門ではないので、両者の関連についてはここまでにしておきます。


■3:乳児死亡率


最後に紹介するのは「中国婴儿死亡率降至13‰ 实现联合国千年发展目标」(中国乳児死亡率、13%にまで低下=国連ミレニアム目標を達成)という記事です。

先天性障害児や子宮頸ガン、乳ガンへの取り組みで中国は目覚ましい成果をあげていると自慢する内容です。乳児死亡率については、中国新聞網の記事よりも、世界保健機関(WHO)の資料をまとめたサイトのほうがわかりやすかったです(MEMORVA)。

表を見ると、各国の違いが一目瞭然。母子の栄養状態、出産後の医療体制で乳児死亡率は大きく変化しますので、発展途上国と先進国の差は露骨に表れます。

乳児死亡率の世界平均:42人(1000人あたり)
1位:アフガニスタン、134人
102位:中国、17人
187位:日本、2人

中国はまだ日本とは大きな差があるものの、最貧国よりは上。ブラジルやトルコと同水準で、まさに新興国の状況にあることがわかります。

*当記事はブログ「
政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

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