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「日本の漫画家で天才って誰?」中国人オタクが議論―中国オタ事情

2011年09月18日

■中国オタク「日本の漫画家で天才っていうと誰だろう?」■

最近はネットも随分と使い勝手が良くなり、オタク関係についても日本の情報をかなり手軽に入手できるようになっていることから、中国オタクの間では作品だけでなくクリエイターへの注目も高まっているようです。


Dip pen line / Le ciel azuré


ありがたいことにちょうど先日「中国で日本の漫画家についてはどう思われているのか?」という質問をいただきましたので、中国のソッチ系の掲示板を巡回していて見かけた「日本の漫画家で天才っていうと誰?」といったことに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。

バクマンの新妻エイジを見ていて思ったんだが、日本の漫画家で「天才」っていうと誰だろう?


天才漫画家か……私のイメージだと冨樫義博や藤崎竜かな。


とりあえず漫画の神様の手塚治虫は入れるとして、あとすぐに思いついたのは冨樫義博だな。
あんだけ休んでいるのにファンが離れず作品を待ち続けているし、下書き状態でも面白いんだから天才と形容するに相応しいと思う。

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。


考えてみればスポーツ選手や小説作家に比べて日本の漫画家って天才と形容されることが少ないような気がするな。てか新妻エイジみたいに若くしてデビューして、漫画の創造が無尽蔵にできて、ジャンプのランキングの上位に常にいるなんて天才キャラ、現実だと有り得るの?漫画って作業量がスゴイらしいし、アシスタントがいたとしても一人でどれだけできるのかとかイロイロと分からない所があるんだよなぁ。


漫画家で天才というなら井上雄彦なんかは異論は出ないんじゃないかな。ただ、漫画家の場合どの辺をもってして天才というのか難しいよな……漫画って画力の他にストーリーの部分もあるし、そのストーリーにしたって漫画特有のやり方で表現できるかという問題が有る。


そもそも、まだ有名になってない漫画家に対して「天才」というのはともかく、既に名作を残している漫画家に対して「天才」という言葉だけで片付けるのはちょっとどうかと思うよね。漫画の連載なんかは絵や話の才能だけでなく、体力なんかの才能も必要だろうし。そう考えると天才漫画家というものの定義が難しく思えてきた……。


その漫画家にしかできないような作品を生み出せるからこその「天才」なんじゃない?
個人的には岩明均とかは天才的な漫画家だと思う。


天才漫画家というなら藤崎竜とかどう?初めて封神演義を読んだとき中国古典をこんなにうまく漫画に出来るなんてと驚愕した。世界観やストーリーもそうだが、キャラクターが特に印象的。中華系のキャラだと分かるのに、ちゃんと独自のアニメや漫画のキャラのデザインになってるとか、もう。


画力だけだったら小畑健は天才的だと思うが、やはり「天才漫画家」とは言えないかな?小畑健の原作付きでない漫画は正直微妙だし……。


画だけというなら大暮維人も……。


画力やセンスは天才的だけど、漫画家として天才かというとそうでもない作家ってわりといるよね。私が知っているクリエイターの中で最も天才的だと思うのは永野護なんだが彼も漫画家として考えるとちょっと違う。「ファイブスター物語」も十分に面白いんだけどね。


日本の漫画って名作は長期連載になるから自由自在に新たな作品を生み出す天才漫画家ってのは出てこないか、注目されないのかも。例えば、尾田栄一郎は良い漫画家ではあるけど「天才」という表現は何かしっくりこないんだよね。


尾田栄一郎は松本大洋のことを天才だと評価しているらしいぞ。


漫画家から見て天才に思える存在ってのは確かにいるらしいね。藤子不二雄は石ノ森章太郎のことを天才だと思っていたらしいし、実際当時は石ノ森章太郎の作品を生み出すスピードとクオリティは他の漫画家に比べて隔絶したものだったそうだ。漫画家としての能力に関しては新妻エイジのイメージに非常に近いかも?


羽海野チカとかはどう?短編なんかも面白いしかなり印象に残る作品を描くし、男女どちらでも読める漫画をかけるのはスゴイと思う。


天才かどうかはちょっと分からんが短編もうまいというなら高橋留美子だろ。てかむしろ俺は短編が好き。長期間にわたって様々な作品を生み出し、現在もまだ第一線で活躍しているんだから少なくとも漫画家としては飛びぬけた存在だと思う。


私の場合好きな漫画家はたくさん思い浮かぶけど「天才」と表現するとなんか違う気がする作家ばかりかな。例えば浦沢直樹とかは作品のアイデアや画、ストーリーの盛り上げ方はスゴイんだが広げた話が綺麗に終わらなかったりするし。

我が心の漫画家、鳥山明はまさに天才だと思う。ドラゴンボールの絵やストーリー展開がその後の作品に与えた影響はスゴイ。今のジャンプの人気漫画はどれも影響を受けているし。あと、鳥山明の漫画に関して印象的なのは漫画は描きこめば描きこむほど良いものではないというのを実感できたことだな。


やっぱ冨樫義博でしょ。新妻エイジってわけでもないけど、ファンだけでなく編集者まで作家が振り回しているというのはまさに天才というキャラだと思うわ。能力的には漫画家の中でトップクラスではあるけど、漫画家としての態度の悪さでも伝説級だし。


漫画という媒体での天才というなら荒木飛呂彦は外せないと思う。荒木飛呂彦の作品はまさに「荒木飛呂彦にしか描けない」作品だ。


森田まさのりとかどうだろう?「ろくでなしBLUES」とかかなり面白いよ。その後の作品も成功しているし、ああいった学校の不良生徒を主体にした漫画のジャンルでは第一人者だし、かなり才能のある漫画家だと思う。


漫画という媒体の場合、商業的な面でのことを考えてもいいんじゃない?で、商業的な影響を考えたら高橋和希はスゴイと思うんだ。商業的というか、市場の反応を考えて作品を作ることに関しては赤松健なんかもうまいと思うけど、高橋和希のやった事はまさに世界レベル。


お前ら、桂正和を忘れているとは何事だ。桂正和作品、特にあのパンツと尻に興奮したことのあるやつはたくさんいるだろうに。ラブコメというジャンルに関しては間違いなく天才だ。


冨樫義博、永野護、萩原一至、高屋良樹……。なんで俺のイメージする天才漫画家って作品が途中で止まっている人ばかりなんだろう……。

とまぁ、こんな感じで。こういう話をするのは中国オタクでも比較的濃い層だからなのか、結構イロイロな作家の名前が出ていました。

最近はネットで作家に関する情報を楽に仕入れることができますし、内容だけでなく作者の情報も含めて作品を認識する中国オタクも増えているようです。

また、ちょっと頭の痛い話ではありますが、漫画に関してはネット環境が整備されてファンサブ動画が出回るようになる以前から海賊版の漫画が出回っていましたし、小さいころから漫画に慣れ親しんでいたという中国オタクも少なくありませんし、イロイロと思い入れがあるようですね。

ちなみに、今回紹介させていただいたもの以外にもイロイロな発言が出ていましたが、ざっと見た所では中国オタク的には天才漫画家ということでイメージするのは「冨樫義博先生」というのが一番多いようでした。

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冨樫先生に関しては作品だけでなく、ご本人に関する話題も伝わっていますし「天才」という言葉からイメージされるものにぴったりだと思われているのでしょうかね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。


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