中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年09月17日
■労働と教育の融合……なのか?
書き込みによると、専門学校の広西理工実業技術学校は今月9日、全員参加の「実習」を学生に通達した。13日には出発という超緊急日程だ。もし不参加しなければ卒業所々は渡さないとの脅し付きだった。派遣される学生は1000人以上。15~17歳の生徒たちだ。
スレ主の陳くん曰く、「実習は望むところだけど、派遣先は俺の専門とかけらも関係ないんだよ!」と嘆いている。旅行専攻の陳くんだが、派遣先は衣料品工場か電子部品生産工場だという。
メディアの取材に答えた広西理工実業技術学校の盧沢賢副校長は、生産ラインで働く学生もいるだろうが、実力次第でオフィスワークに配属される可能性もあるはず。仕事の実践と教育の結合は学校の理念であり、学生たちは身をもって働いて初めて社会に適応する能力を得られると話している。また残業については「学生たちの気持ち次第です。お金を稼ぎたい学生が残業したいと申し出れば、それを止めるようなことはありません」とも話している。
■用人荒
近年、中国では「用工荒」(労働者不足)が話題となっている。そうしたなか、学校が生徒を実習生として一山いくらで売りさばいているのではないかとの告発が相次いでいる。女子学生を「実習」名目でホステスに仕立て上げたとの告発もあるほどのカオスが続いている。
(関連記事:人口13億の中国、2011年は「人手不足」が深刻化=外国人労働者受け入れ加速も)
中国はあれほど人間がいるのに?大学生が就職難で困っているのに?それでも人手不足なの?と不思議に思うかも知れないが、そこには需給のミスマッチが働いている。労働集約産業が求めている働き手は、給与が安い非熟練労働者。余っているのは高学歴の大卒者。中西部の発展にともない、出稼ぎ農民が広東省では東南沿海部まで出てこなくなったと言われる状況で、単純労働の担い手が不足している。
今回のネット掲示板の告発では、学生に渡される給与は200~300元(約2500~3750円、おそらく月給)だという。広東省の相場で考えると、出稼ぎ農民を雇うよりも一ケタ安い数字だ。学校側に仲介費を支払ったとしても十分ペイする金額だろう。