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ロシアと中国に挟まれた日本、戦前同様の危険な道に=中国紙―政治学で読む中国

2011年09月19日

■日本とフィリピンの連携と満州事変■

9月18日は、中国で言う「九一八事変」、すなわち柳条湖(溝)事件が起こった日です。中国では俗に「国恥記念日」とも言われており、例年この日が近づくとテレビでは抗日戦争ドラマが流されるなどの「盛り上がり」を見せています。

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*2005年、反日デモ時のものとされる写真。


ちなみに、この「国恥記念日」ですが、たんに外国(日本)からの侵略を受けたというだけではなく、中国が立ち上がった契機という意味も込められているのでしょう。しかし、中国の近代史を振り返れば、阿片戦争から多くの「侵略」を受けてきたわけで、その意味では無数に「国恥記念日」があってもおかしくありません。つまり、最終的に中国が勝利をする契機として、9月18日が選び取られたと見るべきでしょう。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


■四面楚歌の日本にもはや打つ手なし!?


前述したように、9月18日前後は反日的ムードが漂います。メディアもその例外ではありません。今日はその一つである新華網の記事「港媒:日本在中国南海开始蠢蠢欲动」(日本、南シナ海で策動―香港メディア)です。拙記事「日本とフィリピンが領土で中国を牽制するための会議を開催」に関連する内容です。

日本とフィリピンが領土問題で中国を牽制するために会議を開催したという、前回記事同様の話を枕としてますが、その論調は大きく異なります。前回の記事ではアメリカが黒幕とされていましたが、今回の記事は「四面楚歌の日本が状況を打開するためフィリピンと連携を図ったもの。だが、ろくなことにならない」と主張する内容です。

日本の「四面楚歌」というのは、北はロシアに押し込まれ、さらに尖閣諸島や東シナ海の油田開発問題でも中国が「日本の理不尽な要求に厳しく反駁」している状況とのこと。日本はすでに打つ手なし、だそうです。


■「南シナ海への介入は日本にとって良い結果をもたらさない」

追い込まれた日本は、南シナ海に外交的活路を求め、「フィリピンと共同戦線をはり、南シナ海でもめごとを引き起こしている」と指摘しています。しかし、日本が太平洋戦争で東南アジアに多大な災厄をあたえていること、世界経済が低迷するなか、東南アジア諸国が中国市場への依存をふかめていることから考えて、日本の企みは成功しない。それどころか、日本にとってもろくな結果にはならないと断言しています。

「飛ぶ鳥を落とす勢い」を持つ者ならではのうぬぼれた見解ではないでしょうか。記事は日本の現状についてさらに分析しています。

日本は第2次世界大戦後、最も早く発展した国家で、長期にわたり貿易立国の政策を遂行し、すばらしい成果を挙げてきた。しかしここ数年、国際エネルギー価格は上昇を続けている。日本の工業製品の優位性はすでに失われており、経済は伸び悩んでいる。こうした中、知的所有権貿易と金融・投資を通じて世界での影響力を得ようと試みている。

その日本が南シナ海でもめごとをおこそうとすると、その結果はこうなるそうです。

南シナ海でもめごとを起こし、フィリピンらと連合し、中国から当該地区の天然ガス資源を奪おうとする。これは日本政府が危険な道に踏み込んだことを意味する。日本は海洋大国とはいえ、資源に乏しい国だ。海洋経済を再興するためには、新たに広大な空間を探す必要がある。だが、災いを人に押しつけ他国に損害を与えることで、海洋権益の拡充を図るのであれば、最終的には因果応報の結末が待っていよう。

なるほど、日本は満州事変直前のような状況にあるとほのめかす書きぶりです。


■互いの認識の違いが生む悪循環


18日付「環球網」には、日本メディアが中国の「国恥記念日」をいかに報じたかという記事が掲載されていました。中国の青年が日本国旗を燃やしたなど反日活動にばかり焦点があたり、戦争を反省する声がほとんどないというのが記事の主張です。

思うに、9月18日が柳条湖(溝)事件が起こった日であると知っている日本人はどれだけいるでしょうか。

中国人がしつこすぎるのか、日本人が忘れやすすぎるのかわかりませんが、こうした認識の違いが、日中の大きな問題となっているのは間違いありません。その前提を知らずに中国メディアの記事を日本人が読むと違和感しか覚えないでしょう。そうなれば、認識の違いがさらに広がっていくという悪循環に陥るように思います。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


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 コメント一覧 (4)

    • 1. にゃー
    • 2011年09月20日 03:07
    • 中国が国際条約を守りゃいいだけの話やん。
    • 2. Chinanews
    • 2011年09月20日 09:28
    • >にゃーさん
      自国の記念日を盛り上げるため、米国や日本など他国をこき下ろす官製メディアの風習もそろそろ変えて欲しいですw
    • 3. 名無しさん
    • 2011年09月20日 12:46
    • 自己の置かれた状況を曲解して「圧倒的有利」とする手法は、まさに「この道いつかきた道」(日本的に)。
      この調子だと中国は、戦争への道をひた走るだろうなぁ・・・
    • 4.  
    • 2011年09月20日 17:13
    • 国恥合唱は一回やり返すまで続けるんだろうなw
      最近ロシアが半島政策を中心に何気に反中に傾いてきたね

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