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低所得者のための公共住宅、汚職官僚が不正取得し転売―河南省

2011年09月19日

2011年9月18日、新華社は、河南省鄭州市経済適用房管理センターの林連波副主任を、低所得者向け住宅の不正取得と転売の容疑で拘束したと発表した。

住宅価格の高騰が続き一般市民はマンションを買えないとの不満が広がる中、中国政府は今年、低・中所得者向けの公共住宅、低価格住宅の建設を強力に推進している。経済適用房とは低価格で販売されるタイプの保障性住宅だ。

低・中所得者にとっては夢のマイホームを得るまたとないチャンスのはずだが、「どうせ無理だ」と冷めている人も少なくない。いくら価格が安くても、コネがなければ買えないというのだ。今回の事件はそうした庶民の疑惑を裏打ちするものとなった。


浦东的大厦 / the mansion in Pudong / livepine



記事によると、林が汚職に手を染めたのは女性タクシー運転手・張と知り合ったことがきっかけだったという。親戚が経済適用房を買いたいのだが便宜をはかってもらえないかとの申し出に林が答えたのが最初の汚職だった。これは金になると気づいた張はタクシー運転手をやめ、林と組んで経済適用房の購入と転売で生計を立てるようになった。

張が客と接触し、必要なマンションの場所、タイプを聞き出す。林が不動産開発業者に条件に合うマンションはないか問い合わせ購入、その後転売するという手口だった。調べによると、経済適用房1戸の売却により、2~6万元(約24万~72万円)の利益が上がっていたという。うち1万元(約12万5000円)が林の取り分だった。

要の役割を受け持つ者の取り分としてはずいぶん少ないように思うが、張にいいようにやられていたということだろう。不正な要求に応えた不動産業者は30社あまり。林は計74万元(約888万円)を手にしたという。

不動産価格高騰対策や物価対策など、中国政府は市民の不満を解消するための政策導入を続けているが、しかし、「政府はおれたちを騙している」という不信感は根強い。それは根拠のない疑惑ではなく、腐敗があちこちへと広がっていることの反映だろう。この腐敗があるかぎり、中央政府がいかに「民に優しい政策」を打ち出したとしても、その効果は限定的となる。


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