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義援金はどこへ消えた?疑惑報道を受け政府が用途を発表―上海市

2011年09月21日

7月23日に起きた温州高速鉄道事故は、蔓延する手抜き工事、政府の「不作為」、国民の命の軽さなどの問題をあらわにし、多くの人々の怒りを招く事件となった。実は昨年にも同様の問題を浮き彫りとした事件があった。それが「上海高層マンション火災」だ。

2010年11月15日、上海市静安区の高層マンションで火災が発生。58人が死亡する惨事となった。「消火活動の遅れ」「違法な下請け構造により中間搾取され、安い賃金で働く無資格者が現場で作業していたこと」「何度も大惨事の要因となっていたにもかかわらず、可燃性が高く、燃焼すると有毒ガスを出すウレタンフォームが断熱材として使われていたこと」などなど、いくつもの問題が重なったとされる。

高い注目を集めた事件だけに、被災者や遺族を救おうと中国全国から5470万元(約6億5600万円)の義援金が集まった。だが、この義援金が新たな疑惑を生み出すこととなった。

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*写真は新華網の報道。


2011年9月5日、財経網は「義援金4000万元の行方を問う」と題した記事を掲載した。静安区民政局が4000万元(約4億8000万円)の義援金を受け取った後、用途が確認されていないと報じた。財経網が確認したところでは、被害者家族に渡った金額は420万元(約5040万円)しか確認されていないという。

検閲により記事はすでに削除されているが、一度火が着いた疑念まで消すことは出来なかったようだ。19日夜、上海市政府ニュース弁公室ウェブサイトは、「上海高層マンション火災」に関する義援金の使用状況について発表した。

今年9月5日までに5470万元(約6億5600万円)の義援金が寄せられ、うち2835万元(約3億4000万円)とほぼ半額が利用された。事故直後の生活補助、支援金のほか、旧正月援助、春の衣替え補助、高気温補助、中秋節国慶節補助などの名目で段階的に義援金が支給されていることが明らかとなった。

「奇しくも」財経網の追求記事が発表された9月5日に中秋節国慶節補助413万元(約4956万円)が支給されている。また、今月末にも1175万元(約1億4100万円)が支給される予定。報道があったその月にこれだけの支給があるということも、再び人々の疑惑をかきたてるものとなりそうだ。


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