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お金がないと結婚できない!北京市の結婚費用は2400万円ナリ―政治学で読む中国

2011年09月22日

■中国における婚姻費用■

新華網の記事「娶个媳妇到底多少钱? “80后”小夫妻晒结婚账本(嫁をもらうのって結局いくら必要なの?80年代生まれ若者夫婦の結婚帳簿)が面白かったので、ご紹介します。

中国婚博会のアンケート調査(2007年)によると、中国都市部の平均結婚費用は56万元(670万円)とのこと。もっとも広い中国では各地域ごとに大きな違いがあります。中国ネット掲示板では「中国各地の嫁取り費用」という書き込みで、中国主要都市の結婚費用を算出しています。

それによると、北京市の費用はなんと202万8000元(約2430万円)というとんでもない数字となるのだとか。内訳は住宅購入費160万元(約1910万円)、車12万元(約144万円)、住宅内装費15万元(約180万円)、家電8万元(約95万7000円)等となっています。補足しておくと、中国のマンションは買った時点では内装なしのコンクリートの打ちっ放し状態。自分で頼んで内装をしないといけません。


Endless love / Millzero Photography


*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


■高収入な中国人にとっても非現実な金額

200万元というのはべらぼうに高い数字です。例えば、中国ではかなりの高収入と言える年収6万元(約71万8000円)の男性を例に考えても、飲まず食わずで働いても28.8年かかると記事は指摘しています。

年収6万元のイメージがつかみづらいかもしれませんが、日本と中国の一人当たりGDPの差が10倍という点から単純に計算すると、日本の年収720万円ぐらいでしょうか。乱暴な計算ですが、一応目安ということで。

さて、新華網の記事なのですが、ネット掲示板で出回っている情報を紹介した上で、北京市の「80後」(1980年代生まれ)の若い夫婦を取材。実際の費用を聞いています。


■頭金、家電、ハネムーンの359万円コース


ある夫婦の例です。75万元(約897万円)で50㎡のマンションを購入。頭金として22万元(約263万円)を払いましたが、双方の両親が5万元(約59万8000円)ずつ負担してくれました。改修費が0となっているので、中古を買ったのかもしれません。家電、新婚旅行その他諸々合わせて計30万元(約359万円)の出費です。

若い二人には30万元が限度で、なおかつこのうち3/1は双方の父母が負担してくれたというわけです。記事によると「家も小さいし、結婚式も地味だったが、幸福が少なかったわけではない。私達は若いのだから、いきなり理想の生活条件にいきつく必要はない。2人で日々、ともに生活を頑張ることが重要です」と話しています。


■ベッド、指輪、パソコンの18万円コース


もう一つの例ですが、結婚費用をわずか1万5000元(約18万円)に抑えた夫婦も紹介されておりました。新郎は普通の労働者で、父母も特に裕福というわけではありませんでした。そのため、まず8000元(約9万5700円、家賃半年分)で家を借りたとのこと。ベッドだけは買いましたが、他の家具は大家から借りたそうです。

パソコンを買うかテレビを買うかで迷って、テレビを見られるパソコンを買ったことも紹介されていました。結婚式もあげず。記念写真もなし。結婚関連の支出はベッド、指輪、パソコンを購入しただけです。中国では、「家、車、結婚式、新婚旅行、結婚指輪」をそろえるのが理想の結婚。それがそろわない場合、「裸婚」(身一つの結婚)と呼ばれます。もともとはそんなに費用をかけるのはおかしい、結婚で自由がしばられるのはおかしいという発想にもとづいての提唱だったのですが、いつの間にか貧乏で必要なものがそろえられない人も「裸婚」と呼ばれるようになっています。


■父母にかかる大きな負担


上述の200万元という膨大な結婚費用は、当然反感を呼ぶもの。中には女性を買う「売買婚」だという人までいるそうです。若者が自前でこれだけの金を用意するのはきわめて困難なので、現実には両親の援助が必要です。

新華網によると、若い夫婦のうち、47%が結婚関連費用の20~60%を父母に負担してもらっていると指摘しています。父母が80~100%負担するケースも14%あったとか。子どもの結婚のため、全ての蓄えを使ってしまった両親は、どう老後を過ごすのかという懸念もあります。


■中国版ジミ婚3カ条


これだけお金がかかる中国の結婚。結婚のために、奴隷のように働かなくてはならなくなってしまうことから、「婚奴」という言葉もあるほどです。また、流行に流されず、家族への経済的負担をさけようとする人には、以下のような次のような婚姻方法があるそうです。

「裸婚」
元々ドラマから流行った言葉で、「家なし、車なし、金なし」が基本。さらに結婚式も、新婚旅行も、結婚写真も、結婚指輪も何もなし。

「素婚」
いわゆる地味婚。

「悄婚」
食事会を開いて、結婚を報告しておしまい。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


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