中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年09月23日
これまでの「1国1通信会社」の原則を崩し始めていた。米国では当初AT&Tに独占販売権を与えていたが、今年2月にはベライゾン・ワイヤレスに、さらに今度のiPhone5からは第3位のスプリント・ネクステルも参入する。
■中国電信の「龍計画」
2011年9月23日付信息時報によると、中国電信は一部地域の子会社にiPhone5販売の準備をするよう通達したという。同社はiPhone5販売計画を「龍計画」と名付け、15億元(約180億円)もの資金を準備。広告宣伝、端末割引きを通じて、一気に顧客獲得を狙う方針だ。
業界3位とはいえ、中国電信は1億800万人ものユーザーを抱える巨大企業。ハイエンド携帯の顧客も1300~1500万人を抱えると見られ、年内に100万台以上のiPhoneを売ることは確実と見られている。また米国からの輸入版iPhone4を中国電信シムで利用しているユーザーもすでに一定数存在するようだ。
なお、iPhone4はW-CDMA版(日本ではドコモ、ソフトバンクの通信規格)、CDMA2000版(日本ではauが採用)の2機種が販売されており、iPhone5も通信方式ごとに異なる機種が販売されるとの見方もあるが、信息時報は「W-CDMAとCDMA2000両対応の同一機種が販売される」との業界関係者のコメントを紹介している。iPhone発売前には多くの「間違った観測記事」が流れるだけにそのまま信用できるわけではないが、気になるニュースではある。
■日本でのシムフリーiPhone発売はあるのか?!
中国では中国移動(チャイナ・モバイル)、日本ではドコモと奇しくも日中のナンバーワン携帯キャリアがiPhoneを販売できない状況となりそうだ。ただし、日本とは違い、中国移動ユーザーはiPhoneを使うことができる。TD-SCDMAという独自3G規格を採用しているため、中国移動の3G通信網を使うことはできないが、GSM(2G)を使うことは可能だからだ。実際、輸入版やアップルストアで販売されているSIMフリー端末、そしてシムロック解除版を使う中国移動ユーザーは少なくない。
となると気になるのは日本での動向だ。au版発売に加え、アップルストアでのシムフリー版が発売されれば、ドコモユーザーにもiPhoneという選択肢が生まれることになる。ソフトバンクやauの販売戦略にも影響を与えるため難しい判断にはなるが、中国では中国聯合通信に販売権を与えた後にさらりとシムフリー版の販売を開始している。日本と中国では状況が全然違うため、アップルが同じ戦略を採るとは断言できない。とはいえ、ソフトバンク独占をやめる決断をしたのであれば、シムフリー版発売もありえないシナリオではないようにも思えるのだが……。