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【対台湾兵器売却】中国の猛抗議はヤラセ=米中は事前に合意済みか

2011年09月24日

日中関係に「靖国」「歴史問題」「尖閣諸島」あらば、米中関係に「ダライ・ラマ」「対台湾兵器売却」「貿易摩擦」「人民元レート切り上げ」「人権問題」あり。

こう見てみると、米国も中国と仲が悪くなる「火種」の数は日本に負けず劣らず多い。

2010年初頭にはダライ・ラマ訪米、対台湾兵器売却が重なり、米中関係は大きく後退した。今年は南シナ海問題で中国とベトナム、フィリピンとの関係が悪化していたせいか、7月のオバマ米大統領とダライ・ラマの会談に対して、中国はほとんどとがめだてしていない。だが、台湾向けへ行き売却については相当な勢いで反発し姿勢を示している。

中国「強烈な憤慨」…武器売却で米大使呼びつけ
読売新聞、2011年9月23日
中国の張志軍・筆頭外務次官は21日、米国の台湾への武器売却方針決定を受け、ゲーリー・ロック駐中国大使を緊急に呼び、「強烈な憤慨」を表明して抗議した。


F-16 Aerial Refueling [Image 15 of 28] / DVIDSHUB



2010年初頭の兵器売却は、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を中心に約64億ドル(約4880億円)という契約。今回は台湾が求めるF-16C/Dの売却こそなかったものの、既存のF-16A/Bのアップグレード費用、パイロットの訓練費用など58億5000万ドル(約4460億円)の契約となる。新規売却を見送ったのは米国の配慮だったはずだが、それでも中国的には許せないということだろうか。

この件について、23日付米紙ウォールストリートジャーナルがちょっと面白い記事を掲載している(英語中国語)。

多くのアナリストは、米中両国が次善に合意をかわしているようだと指摘している。よって軍事交流の中断はなく、また来年の共産党指導者交代前という敏感な時期に再び危機に陥ることは避けられるという。2012年に共産党総書記、2013年に国家主席に就任すると見られている習近平国家副主席だが、来年初頭にも初となる米国正式訪問を実施するものと見られている。

米中両国はともに現時点での関係悪化をのぞんではいないはず。なので対台湾兵売却についても話をつけた上で、筋書きどおりの抗議というプロレスを見せているだけではないのか、というのが記事の主張だ。

十分にありえる話であり、また賢明な選択ではある。一方、中国外交部をはじめとする政府の抗議、官製メディアの批判社説などが盛り上がっている現状を見ると、7月のダライ・ラマ、オバマ会談の時と比べ、はるかに「やる気がある」ようにも思える。下手に盛り上げてしまうと、愛国主義の皆様や軍の急進派の心に火がついてしまい、ふりあげた拳を下ろせなくなってしまうこともありそうだ。

対台湾兵売却をめぐる米中の対立。じゃれあいで終わるのか、それとも……。


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