中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年09月29日
■ギャル文字と火星文
とりあえずチャットソフトの写真はかわいい16歳の女の子、しかもちょっと遊んでいそうなギャルのものを使うことになった。だが、肝心のチャットでおっさん臭を漂わせるわけにはいかない。こうして喬刑事は16歳女子の言葉遣い、発想、そしてギャル文字を体得するべく、猛特訓を始めた。
そも中国語にギャル語なるものが存在するのか?と気になっている読者もいるだろう。実は中国には、日本のいわゆる「ギャル語」とよく似た構造を持つ「火星文」なる文体が存在する。
例えば、「今日はいい天気ですね」をギャル文字に変換すると、「今日レよレヽレヽ天気τ″すね」となる。別の文字を使って元の文字とよく似た言葉にしているわけだ。
(参考サイト:ギャル文字ドットコム)
「火星文」もよく似ている。「今天天气很好」(今日はいい天気ですね)を火星文字変換すると、「妗兲忝気詪恏」となる。不要なへんを加えたり、似たような漢字(?)で代用することで、気合いを入れて読めばぎり読めなくもないナゾの言葉「火星文」が誕生する。
(参考サイト:火星文変換サイト・個性字orz6)
■おっさんギャル「小魔女」の活躍
猛特訓の末、ギャル的発想とチャット術を身につけた最強警官が誕生した。アカウント名は「小魔女」。ネーミングセンスにおっさんセンスを捨て切れていない感もあるが、ともあれ接触が始まった。7月初頭から約2カ月にわたり、「小魔女」と龐東のチャット交流は断続的に続いたという。龐はある時は広西チワン族自治区、ある時は広東省と頻繁に居場所を移しており、なかなか逮捕のチャンスはめぐってこなかった。
だがある時、ついに千載一遇のチャンスが訪れた。QQに表示された「現在位置」は広州市と書かれているではないか。しかも幸運なことに龐から「小魔女」に話しかけてきた。「あなた誰だっけ?」などとおっさん刑事は焦らしテクニックを駆使。「ヒマしている」という相手に、広東省にいるなら会おうよと提案した。「お金ないんだけど……」としぶる龐に「じゃ、コーラだけおごって。他のお金は私のおごり」と説得。ついにこの逃亡犯を「釣り」だすことに成功した。
厳しい修練を耐え、16歳のギャルになりきって犯人とチャットを繰り返すという荒行に耐えた「小魔女」こと、喬刑事。この困難なミッションに耐えたのは、刑事としての優秀さだけではなく、もともとギャル化する素質があったのではなどと疑いたくなるところだが……。今回の捜査のために身につけたギャル能力を喬刑事は今後、どう生かしていくのだろうか?