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【上海地下鉄事故】日本の傲慢報道(?)に怒る環球時報読者=平常運転的炎上の図―政治学で読む中国

2011年09月30日

■上海鉄道事故の日本側の報道?■

環球網』に「日媒关注上海地铁追尾事故 称类似事故在日无法想象」(日本メディア、上海地下鉄衝突事故に注目=同様の事故は日本では考えられないと報道)という記事が掲載されています。

同記事が取り上げている日本メディア報道とは、『産経新聞』の「「日本では考えにくい」と驚く日本の鉄道関係者」です。産経新聞の記事は以下のとおりです。

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上海地下鉄追突】「日本では考えにくい」と驚く日本の鉄道関係者

産経新聞、2011年9月27日

高速鉄道の追突事故に続き、今度は地下鉄の追突事故。「日本では考えにくい」。中国からの一報を聞いた日本の鉄道関係者に驚きが広がった。

全9路線で総延長195キロを運行している東京メトロは平成10年までに全線で追突防止の“決め手”とされる自動列車制御装置(ATC)の導入を完了。自動列車停止装置(ATS)よりも進んだ保安装置だ。

前方に電車がいると自動的にブレーキがかかり、安全な車間距離を確保し追突を避ける。しかもATCが故障して運転速度を指示する信号が途絶えた場合にも、東京メトロの電車は緊急停止するようになっている。

日本のある鉄道関係者は「日本の地下鉄で同じような追突事故が起こった記憶はない」といい、「詳しい状況が分からないが、日本では考えにくい事故ではないか。保安装置は付いていなかったのか」と話した。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


環球網の記事はほぼ忠実に訳していますが、最後の「保安装置は付いていなかったのか」という発言だけは省かれています。事故の原因追及(ひいては責任問題)に関する微妙な問題ですので、省かれたのでしょう。

それにしても、なぜ『産経新聞』の記事を翻訳転載したのか、『産経新聞』の上海地下鉄衝突事故関連記事も複数あるのに、なぜこの記事を選んだのかという点は興味深い問題です。先の翻訳の意図的な省略とあわせて考えると、『環球網』の悪意が何となく見えてくるような気がします。

さて、この記事を取り上げたもう1つの理由は、読者のコメントが興味深かったためです。以下、3つにパターン分けして紹介します。


■(1)日本批判型

電車がビルにつっこむことの方が考えられない(おそらく2005年に発生した「JR福知山線脱線事故」を指しているのかと思います)。

だったら、日本の原子力発電所の事故はどうしておこったのだ。

地下鉄毒ガスは中国では考えられない(1995年の地下鉄サリン事件)。


■(2)中国批判型

全体的に言って、中国はいまだに貧しい後進国だ!

恐怖を管理することはできても、腐敗はどうしようもない。

上のなすことに下は従います。


■(3)開きなおり型

これは日本人の想像力が劣ることを示している。

この中国ならありうることだ。

ここは中国だ、想像に難くない。

他にも、「日本のAV女優が大声で『中国大好き』と言い、日本の大衆が恥をさらしていることこそ、想像し難い」というのもありました。


■一部を強調し
捏造された中国バッシング

元記事を読めばわかることですが、「自動列車制御装置」があれば、こうした事故は起こりがたいというのが日本鉄道関係者のコメントです。環球網の記事ですが、「同様の事故は日本では考えられない」というタイトルなので、表題だけ読む人には「(進んだ日本には)事件は起きないとでもいうのか」とミスリードさせることに。

これでは「日本批判型」のコメントが書き込まれるのも当然です。かくして環球網のコメント欄はいつもどおりの日本叩き炎上のような様相を見せているのです。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


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