中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年09月30日
【上海地下鉄追突】「日本では考えにくい」と驚く日本の鉄道関係者
高速鉄道の追突事故に続き、今度は地下鉄の追突事故。「日本では考えにくい」。中国からの一報を聞いた日本の鉄道関係者に驚きが広がった。
全9路線で総延長195キロを運行している東京メトロは平成10年までに全線で追突防止の“決め手”とされる自動列車制御装置(ATC)の導入を完了。自動列車停止装置(ATS)よりも進んだ保安装置だ。
前方に電車がいると自動的にブレーキがかかり、安全な車間距離を確保し追突を避ける。しかもATCが故障して運転速度を指示する信号が途絶えた場合にも、東京メトロの電車は緊急停止するようになっている。
日本のある鉄道関係者は「日本の地下鉄で同じような追突事故が起こった記憶はない」といい、「詳しい状況が分からないが、日本では考えにくい事故ではないか。保安装置は付いていなかったのか」と話した。
環球網の記事はほぼ忠実に訳していますが、最後の「保安装置は付いていなかったのか」という発言だけは省かれています。事故の原因追及(ひいては責任問題)に関する微妙な問題ですので、省かれたのでしょう。
それにしても、なぜ『産経新聞』の記事を翻訳転載したのか、『産経新聞』の上海地下鉄衝突事故関連記事も複数あるのに、なぜこの記事を選んだのかという点は興味深い問題です。先の翻訳の意図的な省略とあわせて考えると、『環球網』の悪意が何となく見えてくるような気がします。
さて、この記事を取り上げたもう1つの理由は、読者のコメントが興味深かったためです。以下、3つにパターン分けして紹介します。
■(1)日本批判型
電車がビルにつっこむことの方が考えられない(おそらく2005年に発生した「JR福知山線脱線事故」を指しているのかと思います)。
だったら、日本の原子力発電所の事故はどうしておこったのだ。
地下鉄毒ガスは中国では考えられない(1995年の地下鉄サリン事件)。
全体的に言って、中国はいまだに貧しい後進国だ!
恐怖を管理することはできても、腐敗はどうしようもない。
上のなすことに下は従います。
これは日本人の想像力が劣ることを示している。
この中国ならありうることだ。
ここは中国だ、想像に難くない。