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2011年09月30日
2020年に有人宇宙ステーションを建設=中国の宇宙プロジェクトとその課題―翻訳者のつぶやき2011年2月2日
①2011年までに、後続の宇宙船のドッキング目標となる宇宙船「天宮1号」、そしてそれにドッキングさせる無人の宇宙船「神舟8号」を打ち上げ る。ドッキング成功後は「神舟9号」「10号」も打ち上げ。「8号」「9号」は無人だが、「10号」は最終的に有人宇宙船になる計画。
②宇宙船「天宮2号」「天宮3号」も打ち上げ。「天宮1号~3号」はすべて宇宙実験ができる施設を備えた宇宙船であり、2016年までに小規模な「宇宙実験室」を宇宙空間に建設する。
③2020年には、中国独自の有人宇宙ステーションを建設する。
■誤算だった「実験11号04星」打ち上げ失敗
ただ、中国にとって誤算だったのは今年8月18日、衛星「実験11号04星」の打ち上げに失敗したことです。「天宮1号」の打ち上げは本来、8月末に予定されていました、打ち上げ失敗を受けて急きょ延期されました。
27日、中国有人宇宙プロジェクト副総指揮、総装備部副部長の牛紅光氏は取材に答え、「打ち上げ延期の理由は『実験11号04星』の打ち上げ失敗の原因となった運搬ロケット『長征2号C』と、『天宮1号』の打ち上げに使用される運搬ロケット「長征2号F」が同系列のものであるため」と説明しています。
打ち上げ失敗後から9月10日まで、「天宮1号」の打ち上げ準備作業はストップされていたと牛副総指揮。9月18日に「長征3号B」による通信衛星「中星1 A」の打ち上げに成功。これで「ロケットは改善された」ことが証明され、中国政府は9月末の「天宮1号」打ち上げ日程を固めたようです。
■宇宙ステーション建設に向け、打ち上げラッシュ
「天宮1号」に続き、今後は宇宙船「神州8号」「神州9号」「神州10号」が相次いで打ち上げられる計画です。「神州8号」打ち上げ用ロケット「長征2 号F」はすでに酒泉衛星打ち上げセンターに到着しており、11月の打ち上げに向けて準備作業が急ピッチで進められていると報じられています。上記の宇宙船3機は宇宙空間で、「天宮1号」とドッキングする計画。
昨年のロードマップによれば「8号」「9号」は無人の宇宙船になる予定だったのですが、牛副総指揮は「『9号』については、『8号』の状況を見て無人にするか有人にするかを決める」と説明しており、有人機のドッキング前倒しを示唆しました。
■胡錦濤、習近平は現地に赴かず
当然のことながら、胡錦濤総書記を初め、中国共産党中央政治局常務委員9人全員が打ち上げを観覧しました。ただし、酒泉打ち上げセンターでの現場観覧は温家宝総理、賀国強紀律検査委書記のみ。残る7人は北京の管制センターでの観覧となりました。
軍とは直接関係のない温首相、賀書記が現場で観覧し、中央軍事委主席と副主席という軍の重要ポストを務めている胡錦濤総書記と習近平国家副主席は北京で見物というのは少々違和感が残るところです。江沢民時代からずっと、今回のような国威発揚イベントには、トップが現場観覧というのが常だったからです。せめて習近平国家副主席ぐらい現場で参観しても……と思うのはわたしだけでしょうか。
国慶節直前だったからでしょうか……。いろいろ考えてしまうネタではあります。
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。