中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月02日
動画共有サイトやネット掲示板、マイクロブログでは多くのコメントがやりとりされているが、ポイントは2つあるようだ。
■愛人をめぐる本音と建て前
第一に「警官が、公務員が愛人囲っていいのかよ?」という観点。愛人囲っているような警官に売買春を取り締まれるのか、公務員が社会規範に反したことをしていいのかというお話だ。
性のモラルについては、どこの国も建前と現実が乖離しているものだろうが、「清く正しい共産党」が国を治めている中国では建前がクリーンすぎて、現実との乖離がすさまじい。上記映像でも取材を受けた警察幹部が「うちの警官に愛人を囲っている輩はいない」と断言しているが……。そんなわけなかろうに。
以前には「私を囲って」とのボードを持ったかわいい女の子の写真がネットの話題をかっさらったこともあったが、本音のハードルはどんどん下がっているのに、建前はなかなか変わらないようだ。
もう一つのポイントは「普通の警官でも愛人を囲う金があるのかよ」というお話。ニュース映像にでてくるのは、派出所勤務のごくごく普通の警官。一般ピープルは1人の女の子とつきあったり結婚するだけでもひいひい言っているのに、どこに愛人を囲う金があるんだよ!という感想だ。まあ、愛人を囲うといっても費用はぴんきりのように思うが、下っ端でも警官はいろいろとおいしい話があるのではと疑われそうだ。
■なぜ愛人ネタはこれほど注目を集めるのか?
中国のニュース、ネットで話題の騒ぎを追いかけていて思うのは、「愛人絡みの話多すぎない?」ということ。みんな下世話な話が大好きだからというのが一番の理由かも知れないが、「セックス格差」の進行に危機感を感じている男性が多いからではないかとも感じている。
日本でも交際相手を見つけられない男性の問題はたびたび取り上げられているが、性別人口比が大きく男性に偏っている中国はより深刻な悩みといえる。しかも金持ち男が貧困女性を愛人に囲うというニュースがたびたび流されると、「おれたちの階層の女を奪われているじゃないか」という気持ちが広がるわけだ。
たんにもてない男の嫉妬と笑い飛ばせる話ではない。古来より人類は女を奪うため、守るため戦いを繰り広げてきた。あるいは21世紀中国の階級闘争は「女をめぐるバトル」という側面も見せるのかもしれない。