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2011年10月02日
上海のミスタードーナツ店、破壊=「通路造る」と貸主強硬手段-中国時事通信、2011年10月2日
同社(ミスタードーナツ)によると、7月に突然明け渡し要求があり交渉していたが、9月27日午後4時ごろ、営業中の店舗が停電。1時間後にビル管理会社の幹部ら数人が訪れ、1階の店舗奥の壁を壊し始めた。28、29日も椅子の撤去や店長室の破壊が続き、30日朝にはカウンターと厨房を除く約70平方メートルががらんどうになった。表通りに面した店舗の入り口には、「ビル入り口」という幕も掲げられた。
例えば、9月19日付博訊網は、広西チワン族自治区南寧市のドラッグストア「老百姓大薬房」が、ビル管理企業が雇ったチンピラによって打ち壊しにあったことを報じている。8月14日、15日、17日と3度にわたり、「ナゾ」の打ち壊し部隊が来襲。警備員が見て見ぬふりをする中、在庫が略奪され店が破壊され、100万元(約1200万円)以上の被害が出たという。
「もっと家賃をあげたいが、長期契約であげられないので嫌がらせ」というビル管理企業の動機もミスタードーナツの事件と一緒だろう。ミスタードーナツは強硬手段に移る前に「通路を新設する」という理由で難癖をつけられたが、南寧ドラッグストアでは「消防安全通路が確保できない」との理由で裁判所に訴えられるという嫌がらせを受けた。
他にも北京のコーヒー店が追い出しを喰らって突如閉店などというニュースも話題となったし、企業ではない一般人が突然部屋を開けろと言われるケースは少なくない。
日本でもよく報じられているとおり、中国の不動産価格は年1割、2割上昇するのは当たり前。家賃も相応のペースで上昇しているため、「うっかり」長期契約すると、許せない安値となってしまうのだろう。この「都市地上げ」、不動産価格高騰が招いた悲劇と見るべきか、契約があっても抜け穴を探してしまう慣習が招いたものと見るべきか。どちらにせよ、契約があるからといって安心はできないようだ。
また、この事件、中国マフィアが「便利な存在」として重宝されていることを示すものでもある。ちょっとした企業ならば、「打ち壊し代行」のマフィア、チンピラをたやすく見つけ出してこられるのだ。貧しい若者を組織し汚れ仕事を任せる中国マフィアも、皆様のニーズに応えて順調に規模を拡大させている。
関連リンク:
【動画】上海のミスタードーナツの店舗、破壊される(日テレNEWS24、2011年10月3日)
恐らく、外資系が狙われることがなかったから(北京のコーヒー店がスタバなのかはわからんので何とも言えませんが)異例扱いされたんじゃないかと。