中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月05日
新華社記事の煮え切らない表現、その疑問を少しだけ解き明かしてくれる記事があった。5日付甘粛日報によると、甘粛省張掖市甘州区の郷鎮幹部評価では「徳」の数量的評価制度を導入するとのこと。政治的品徳、職業道徳、社会道徳、家庭美徳、個人品徳の5カテゴリー15種類の項目でポイントを付ける「科学的徳評定基準」を導入するらしい。
先輩官僚たちが「汚職しホーダイ」の現状で、公務員試験受験生にだけ「徳」を求めてもしょうがないだろ、クリーンな奴を入れてもすぐ「朱に交われば赤くなる」となってしまうようにも思うが……。
しかし、この「徳」基準採用は中国史を学んでいた人間にとっては燃える展開である。中国の科挙は現実には儒教の知識を問うものであったが、建て前的には受験生の「徳レベル」を測定する試験であった。徳さえ高ければ、なんでもできるということになっていたのだ。
改革開放から30年、中国共産党的建て前があちらこちらで後退する中、封建社会的建て前が復活しつつあるが、「徳」評価もあるいはそうした流れの一環としてとらえるべきかもしれない。