• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

変わりゆく中国老人社会=子離れ、孫離れしての自立の道―政治学で読む中国

2011年10月07日

■重陽節と老人問題■


■1
.重陽節とは

重陽節とは旧暦の9月9日。今年は新暦10月5日となります。元々中国では奇数を陽の数字としましたが、最も大きい奇数である9は特別な意味をもち、皇帝を指すこともあったそうです。その9が2つ重なる9月9日は、 陽数が最も強い日と見なされました。

「人生万事塞翁が馬」という諺がありますが、最も幸せということはその後に不幸が来ることを意味しております。そのため、推察するに最初は最も良い日だったものが、いつの間にか「凶日」と見なされるようになってしまったという不思議な日なのです。


秋秋的老人與狗 / *嘟嘟嘟*


この日にちなんだ面白い伝説があります。後漢のころ、桓景という男が道士に武芸を習っておりました。ところがある年の9月9日に災いが降りかかるので、家族を連れて高い山に登り、菊花酒を飲んで難を逃れるようにと言われました。

半信半疑ながらも、言われたとおりにした
桓景。夕方に帰宅すると家の家畜が皆死んでおりました。後で道士に聞くと、「家畜が代わりに難を受けた」と言われたそうです。この話が広がり、重陽の時期になると、山に登ったり菊花酒を飲む習わしができました。

この家族を伴って難を逃れる(邪気をはらって長寿を願う)、(健康のために)山へハイキングに行くということなどが後に敬老と結びつけられるようになります。今では重陽節は敬老の日もみなされるようになりました。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきも」の許可を得て転載したものです。


■2.中国における老人ホーム

さて長い前書きとなってしまいましたが、北方網に「重阳节探访天津养老院:三大变化让老人感叹」(重陽節に天津の老人ホームを訪問=老人を感嘆させた三つの変化)という重陽節にちなんだ記事が掲載されていたので、ご紹介します。

一言でまとめると、子どもたちと共に暮らすことが最も幸せだという伝統的観念が変化しつつあり、最近では子どもたちに対する依存心を減らし、老人たちだけで楽しく生きている人が増えたという内容です。

2人の例が挙がっていたのですが、1人は自分で農作業をして自分で作ったものを食べるようになったところ、食事量が増えるほど元気になったという話。もう1例は体が悪くてずっと娘に介護してもらっていたが、老人ホームのショートステイで面倒を見てもらえるようになったので娘も助かっているという話です。


■老人を変えた三大変化

一応三大変化について言及しておくと以下のとおりです。

(1)一人っ子同士が結婚すると4人の老人の面倒を2人で見なくてならないことになるので、以前のような伝統意識を持つ者は減っており、老人ホームに自ら入るものが増えた。



(2)豊かになるにつれ、「要求が高い、民度が高い、文化程度が高い、収入が高い」という四高と呼ばれる現象が見られるようになった。



(3)老人ホーム内でも、イベントで輝く「老人スター」が登場するなど、老人たちも自分の生活を持つようになってきた。


日本では社会面の記事といえば、良いことや明るいことに焦点を当てないことが多いように思います。例えば「敬老の日」関連だと、独居老人や孤独死という話題ばかりではないでしょうか。

中国では悪い面ばかりではなく、良い面を取り上げる記事が多いのです。もちろん社会の良い面を描けという共産党政権の意向も働いているのは言うまでもありませんが、それにしても日本とは見事な対称になっているのはなかなか面白いのではないでしょうか。



*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきも」の許可を得て転載したものです。


コメント欄を開く

ページのトップへ