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2011年10月08日
そんな恐ろしい乗り物ではあるが、今回死亡したのは入場客ではなく従業員。中国ではありがち、日本では考えられないことだが、機器が完全に制止する前にやってきて、入場客の安全ベルトを外していたという。長期休暇「黄金週」の只中ということもあって遊園施設は混雑していたはず。「危険?大丈夫だ」精神を発揮し、少しでも入れ替えを早くしようとした結果が大変な事故を招いてしまった。
「大擺錘」は円盤の揺れがストップした後、乗客の足場になる鉄板がせり上がってくる仕組み。上がりきる前に近寄って乗客の安全ベルトを外していた従業員の唐さん(43歳)。足をすべらして、鉄板の間に転落してしまった。
足をすべらした理由がまたせつない。絶叫マシンの威力にやられた乗客の吐瀉物に足をとられてしまったという……。転落した唐さんはせり上がってくる鉄板に挟まれ、押しつぶされて死亡した。
先日、上海市地下鉄10号線で起きた追突事故も「危険?大丈夫だ」精神の発露によって起きたものだった。停電で信号システムがダウンした後、指令センターは走行中の列車の位置を完全に把握することなく、電話閉塞方式での運行を指示。現場も「前に列車?たしかいなかったはず」でGoサインを出し、衝突させた。
まだ最終報告があがっていない温州高速鉄道追突事故も、雷で信号システムがダウンした後に「危険?大丈夫だ」精神を発揮したがゆえの惨事だった可能性が高い。