中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月09日
この記事でやはり気になってしまうのが尿素だろう。京華時報も「全国のプール、約1割で尿素濃度が基準値超過」というタイトルをつけ、もっと合格率が低かった塩素濃度を差し置いて尿素を重視している。まあ、その気持ちは理解できる。尿素はほ乳類の尿や汗に含まれているもの。その尿素が基準値超過ってことは……ひょっとして水が少し黄色くないですかと嫌な気持ちになってしまう。
もっとも消毒用塩素には尿素を分解する能力があるらしい。塩素濃度が不合格なプールが多いことからもわかるとおり、消毒薬をけちっていることが原因のケースも多いだろう。まあ、私が中国に住んでいた時は、どぶのにおいがする緑色の水のプールで毎日泳いでいたので、尿素ぐらいでがたがた言っても仕方がないかもしれない。もうちょっと値段の高いプールだと、水がきれいだったがお金がなかった。あのプールはいまだにエメラルドの水をたたえているのだろうか。
また、「プールの循環設備の未設置、規定通りの運用をしていない」という指摘も興味深い。中国では工場に排水・排気浄化設備をつけても「動かしたら金がかかる」との理由で使わない事例が少なくない。お役所の人が来た時だけ、アリバイ的に動作させるのだ。工場だけではなく、プールでも同じことをやっているのだなと興味深く読んだ。