■開店祝いとコネ■
短い記事ですが、ある意味、今の中国を象徴するような面白い記事があったので紹介します。『
中国網』の「重庆北碚一酒楼开张 政府部门祝贺趋之若鹜」(重慶市北碚区のレストラン開店=政府部局のお祝い垂れ幕が殺到)です。
タイトル通り、「お祝い垂れ幕」が殺到したようすをとらえたのが下記の写真。この赤い布はなんなんだと思う方もいるかもしれませんが、開店祝いのようなもの。日本の花輪だとお考えいただければ。
*写真は
中国網の報道。
*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。
このお祝いメッセージですが、数の多さは交際範囲の広さの証明となります。また、誰が贈ってくれたかという点も重要です。著名人や有力者からのお祝いは、影響力を示すシンボルとなるわけです。
さて、話題となった重慶市のレストランですが、なんと100枚もの垂れ幕が集まったのだとか。「これはすごい」とメディアに取り上げられています。
垂れ幕の寄贈者もなかなか面白い顔ぶれ。
北碚区財政局、北碚区建委、北碚区市政局、北碚区商委、北碚区文広新局、北碚区安監局、北碚区統計局、北碚区人力社保局、北碚区環保局、北温泉街道弁、北碚区国土分局、北碚区規劃分局、北碚区工商局、北碚区公安分局、北碚区国税局、北碚区地税局、北碚区烟草専売局、北碚区食品塩品監督局、北碚区歇馬鎮政府、北碚区餐飲協会……
と北碚区政府部局が並んでいます。このレストラン経営者が地方政府と深いパイプを持っていることが一目でわかるという仕組みです。もちろん垂れ幕だけではなく、オープニングセレモニーには偉い人が集まって千客万来状態だったそうです。
何度も取り上げてきたことですが、中国で「関係」(コネ)が決定的な役割を果たします。手続きがスムースに進むかどうかといったあたりは序の口で、時には法律違反のもみけしまで可能となります。コネがあるのとないのでは大違いです。
ゆえに、今回の垂れ幕のように「自分はこれだけのコネを持っている」とアピールするのは大きな意味を持つのでしょう。もっとも、過ぎたるは及ばざるがごとしということか、やりすぎは禁物。この一件を紹介している記事も、あきれているようなトーンで報じています。
*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。