中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月13日
■「食事にゴキブリがッ」でストライキ
参照記事:食堂の料理に不満工員が出勤拒否(南方網、2011/10/12)
11日、広東省恵州にある自動車部品工場、「恵州古河汽配有限公司」(Furukawa Auto Parts (Huizhou) Ltd (FAPH))の工員が一斉に出勤を拒否しました。工場の食堂が9月から自社管理から外部委託に変更されたのですが、それからというもの料理にゴキブリや葉虫が飛び込んでいたり、スープにゴムやビニール袋が入っていたりする始末。食べられる代物ではない食事が提供されるようになったそうです。
また、食事の品数も2品に減り、肉や魚が出てくる回数も激減。メシだけを楽しみにしていた工員のやる気を削ぐことになりました。自社管理時代は会社の補助金があり、1元(約12円)という安さでおいしい社食を楽しめていたのに……と、バラ色時代からの落差が印象的です。
食堂に対する不満から、工員は11日から作業のボイコットを始めました。ついでにということなのか、賃上げも要求しています。不満をなだめるべく、恵州市政府は食堂関係者に「もっとちゃんとメシ作れ、うまいもの作れ」と管理強化を指示したとのこと。
■社食を使わない経営幹部
さて、今回の事件ですが、たんに「ダメ業者に管理を委託した工場のミス」ととらえるべきではないでしょう。実はここ数年、企業の食堂メシは悪化の一途をたどっているのです。
やはり食料品の物価高騰が影響しているのですが、どこの工場も「不味くなるわ、品数は減るわ」という状態。さらに外部委託でより悪化したとの報道もよく目にします。昨年、学生が学食を襲撃する事件が相次ぎましたが、これも外部委託になった途端に値上げ、そして味がまずくなったためというのが発端です。
(関連記事:「値上げにキレた中高生1000人、暴動起こし学食破壊=インフレが引き起こす社会不安―中国・貴州省」2011年10月13日)
中国では、エラい経営陣は別室で食事するか、市内に車で出かけて食事というケースがほとんどです。私のような日本からの出張者が来ている場合、現地経営陣はなかなか食堂で食べさせてくれません。私一人での出張の場合だと、時間を節約して昼寝の時間も作れるし、ネタ収集もできるといいことづくめなので、食堂で済ませますけど。
ボイコットが起きたのは日本企業なのですが、現地の工場長なり総経理なり責任者が、一般従業員にどのような食事が提供されているか、ちゃんと知っておくべきでしょう。さもなければ、見せしめ的にさらし者にされてしまうケースもあります。たんに従業員が騒ぐだけではなく、「政府機関」が工員の味方面をして賃上げを指示してくるケースもありますから。