中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月15日
■2号目で早くも新連載
お値段は据え置きの12元(約145円)だ。10月号は創刊第2号にして早くも新連載があると聞いていた。手に取ると、厚みは前とあまり変わっていないが……。開くと、すぐにタネに気が付く。なんてことはない。創刊号は新連載しかないから各話のボリュームが多かったが、2号目から通常のページ数に戻る。それに加え、新たに2作品の連載が始まったが、代わりに1作品が休載している。
休載作品は隠れオタクの少女が少女マンガな出会いをするラブコメ「家宅平安」だ。だがこの休載は事前に決められていたことだった。創刊号を読み返すと、「次回は11月号」とちゃんと予告されている。
■都市擬人化マンガ『中国城市擬人化』
さて、今回は一部で話題になった中国の各都市擬人化マンガ『中国城市擬人化』を取り上げる。何故ならもう1つの新連載作品「仙剣」はいくらミリオンセールのゲームとは言え、原作自体に思い入れがないから触れようにも触れられないからだ。
(関連記事:「中国の「都市擬人化」企画が面白い!微妙な各地イメージが垣間見える内容に―中国オタ事情」2011年9月25日)
連載1話目は「広州編」。9月号のキャラ紹介でも、中国という国から見ても首都の「北京」が第1話を飾ると思っていたからこれは意外だ。
ちなみにこの「広州」はアホ毛が生えている天然系のオタクで、エライ食いしん坊である。このキャラ設定は広州がマンガ・アニメフェスの開催地になっていることと、「食は広州にあり」のことわざから来ているんだろう。広州が持っている新旧のイメージを上手く融和させている。
意外なこと尽くめのマンガだが、まさかショートストーリー形式とは思わなんだ。
いや、予告の段階で勝手に4コママンガだろうと誤解していた私が悪いのだが、擬人化までさせているのに、中国各都市のあるあるネタを4コマ形式でやらない意味って何なんだろう。
ストーリー漫画にした理由は各都市のキャラクター性を掘り下げるというよりも、ネタ数が少ないから4コマにして乱発できないだけのような気がしてならない。
オタクや食いしん坊という個性の他に、「広州」はヤギを5頭飼っている(五羊石像)とか中山服が似合う(中山紀念堂)など、外国人の私から見てニヤリとさせられる記述はあった。だが擬人化をテーマにしたマンガの連載初回にしては作品には毒気がほとんどなくて、可愛さの描写に一辺倒。ターゲットとする読者層がうかがえようというものだ。
北京は味音痴(地方出身の中国人はみんな北京の飯屋に不満を持っているはず)とか、上海は薄っぺらい(歴史が短いから観光に向かず見る所が少ない)とか、天津は3日で飽きる(古街見たら終わりじゃないか)とか、そういうマイナスイメージをギャグにするのがマンガじゃないのかな。
せっかく各都市を擬人化させたのだから、たんなる萌え系マンガで終わらないことを祈りたい。
■特典はハルヒエコバッグ
ところで今月号の特典は創刊号のハルヒストラップに続き、特製ハルヒエコバッグだったのだが、
これを持って行っても恥ずかしくない年齢っていくつなんだろう。この月刊誌の対象年齢がますますわからなくなった。
■玉石混合すぎる……
そして今月号の巻頭特集は漫画家集団Summer Zooの発起人・姚非拉と『涼宮ハルヒの憂鬱』や『灼眼のシャナ』のイラストを手がけたいとうのいぢの対談である。
このあたりの対象年齢層は上なんだけども、わざわざ本を買ってまでいとうのいぢの話を読もうとする人間が天漫のマンガを楽しめるのだろうか。
純粋な好奇心から聞くんだが、天漫っていったいどんな奴が何のマンガを目的に購買しているんだ。単純に私の趣味と天漫が合っていないだけなんだろうが、創刊第2号にして早くも天漫の方向性が不安になってきた。
関連記事:
中国人が書いたハルヒ、ガンダム=話題の角川中国語マンガ雑誌を入手―北京文芸日記(2011年9月12日)
*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。