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「プラットフォーマー」の横暴と戦う=値上げ宣言に嫌がらせで対抗する中小業者―中国

2011年10月13日

2004年、楽天市場は出店料の大幅引き上げを発表した。もちろん非難の嵐が楽天に浴びせられたが、楽天市場はすでに日本国内で圧倒的なシェアを占めているだけに撤退すれば商売は成り立たない。結局、大半のお店はしぶしぶ高くなった出店料を支払うことになった。

さて、現在の中国にも日本の楽天、あるいはそれ以上の影響力を持つショッピングモールサイトがある。それがアリババの展開するタオバオ(個人業者中心)とそのプレミアム版のタオバオモール(有力店舗中心)だ。

2011年10月10日、タオバオモールは2012年の出店料を従来の年6000元(約7万2000円)から3万元(約36万円)、または6万元(約72万円)に引き上げることを突然発表した(サービスコースに応じて2種類の料金)。さらに契約違反時の消費者救済に使われる保証金の支払い額を従来の1万元(約12万円)から5~15万元(約60~180万円)に引き上げた。

まさに2004年の楽天をほうふつさせる、一方的な値上げ発表である。しかし、中国の中小業者は日本ほどお行儀よくなかった。ソーシャルメディアで連携を取り、タオバオモールにゲリラ戦をしかけたのだ。

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*画像はタオバオモールのトップページ。


■怒りの中小業者がゲリラ戦を展開

13日付揚子晩報が中小業者のゲリラ戦について報じている。

中小業者たちはメッセージサービス・QQのグループチャット機能で連絡を取り合い、出店料が上がってもびくともしない大手業者に対して攻撃をしかけているという。中小業者軍、その数はなんと7000に達するという。

さて、肝心の攻撃手段だがこれが激しくせこい。タオバオモールの手厚い消費者保護システムを逆手にとっての嫌がらせなのだ。

攻撃1:大量注文アタック
タオバオモールでは注文から一定時間(店舗により24時間、48時間、72時間)以内に発送することを約束している。もしその時間内に発送できなければ、補償金を支払わなければならず、また店舗の信用評価がマイナスとなる。そこで注文を殺到させて大手業者を麻痺させようという策略だ。

攻撃2:大量返品アタック
「大量返品アタック」とかいっても大手業者の売り上げを増やしているだけじゃないか、と思われるかもしれない。しかし、タオバオモールには「7日以内の返品は理由を問わず受け付ける」という規約があるのだ。かくして、大手業者の従業員さんが泣きながら必死に出荷した品物は1週間後に戻ってくるという切ない状況に。


■強硬姿勢から一転、妥協案を提示したタオバオモール

嫌がらせだけではない。一部業者はタオバオモール本部周囲で、横断幕を手にデモを敢行しているとも伝えられている(タオバオモール側はデモの写真は昨年のものだと否定)。

嫌がらせに対し、タオバオモールの親会社アリババのトップであるジャック・マー(馬雲)氏は、「脅しには屈しない」「会社が金を稼いで何が悪い。9年間も利用料をとらなかったタオバオのほうが普通じゃないんじゃ!」と真っ向勝負の姿勢を示した。ちなみに個人事業者中心のタオバオは今でも出店料が無料。フリーの魅力で米大手イーベイを駆逐したのであった。

さらに悪質な嫌がらせに対しては警察に通報する示していたが、12日になってタオバオモールの張勇総裁が「条件を満たせば出店料は返還する」との新方針を示した。中小業者向けの妥協という可能性が高い。ただし、その条件とは年間売り上げ120万元(約1440万円)というハードルで、ダメ中小業者が達成するのは難しそうだ。

参入障壁をあげることで、まっとうな店舗以外を閉め出したいというのがタオバオモールの狙い。騒いでいる輩はもとから不必要な店舗だったと思っているのだろうが、しかし今回のゲリラ戦術は予想外だったのではないだろうか。

合法、非合法を問わず、ともかく声をあげる「ルート」を探すのが中国スタイル。今回の一件はせこい嫌がらせではあるが、一筋縄ではいかない中国人の「したたかさ」を改めて感じさせる事件となった。


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