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英紙が報じた中国の「サイバー民兵」部隊=普通のサラリーマンや大学生がネット諜報活動に従事

2011年10月14日

2011年10月12日、フィナンシャルタイムズは記事「Chinese military mobilises cybermilitias」(中国軍、サイバー民兵を招集)を掲載した。中国当局が否定を続けている官制サイバー攻撃集団について、踏み込んで報道する内容となった。BBCRFIVOAと海外系中国語ニュースサイトが大きく取り上げるなど注目を集めている。

記事で取り上げられたのは、南昊科技公司(Nanhao Group)という「民間企業」。ソフトウェア開発やスキャナーなど電子機器の製造を手がける企業だが、河北省衡水市の工場に勤める社員500人には別の任務が用意されている。2006年以来、彼らは中国人民解放軍の「サイバー民兵」としての活動を続けているという。

「30歳以下の従業員は組織に属しています」と説明したのは南昊科技公司の白国良・副総裁。「組織」についての正確な説明はなかったが、地方政府の説明によるとサイバー攻撃とサイバー防衛の2つのグループから成り立っているという。白副総裁は地元の軍部隊からの指示によって行動していると話したが、実際にサイバー攻撃をしかけた経験があるのかについては回答を避けた。


Zenith Z-19 Terminal / ajmexico



南昊科技公司の「サイバー民兵」組織は、中国全土のIT企業、大学に設立された数千の組織の一つに過ぎない。これらの組織は中国のインターネット戦力の根幹をなしていると記事は指摘する。中国政府、またはその支持者によって中性子爆弾設計図などの機密情報が盗まれたと米国は指弾している。またグーグルなど米IT企業へのサイバー攻撃は山東の専門学校や上海交通大学を発信源としていたと見られており、あるいは「サイバー民兵」が攻撃を担った可能性を記事は示唆している。

「中国もまたサイバー攻撃の被害国だ」と中国政府は繰り返し表明しているが、人民解放軍は1999年から電子戦の必要性を主張、2002年からは実際に人材の募集を始めている。また中国人民解放軍軍事科学院機関紙に掲載された論文は、ネットワーク部隊の任務は「敵対サイトの資料の奪取、改編、削除」と定義し、敵対サイトを混乱させ麻痺させることが目的だと結論づけている。

他にも興味深い「人材育成」の動きがある。2005年、成都軍管区主催のサイバー攻撃コンテストで優勝したTang Zuoqi氏は現在、貴州大学で研究職についている。軍は大学における情報戦の研究をサポートしている。ただし、人民解放軍は「サイバー民兵」との関係を隠蔽しようと画策しており、そのつながりを証明することは困難だという。

また軍に限らず、中国では民間のハッキングも流行していると記事は指摘する。若いハッカーたちはネットを通じして交流しているほか、オフラインのクラスも存在する。路上にはハッカー学校の広告すらあるという。サイバー犯罪の専門家、北京師範大学教授のLiu Deliang氏は「中国では犯罪目的のためのハッキングが成長し、より組織的かつ専門的になっている」と話した。


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