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写真で見る、中国人が海外で遭遇した悲惨な出来事―中国(凜)

2011年10月16日

■海外で被害に遭う中国人■

中国新聞網』に「伤不起!图说华人在境外悲惨遭遇」(ヒットポイントはもうゼロよ!写真で見る、中国人が海外で遭遇した悲惨な出来事)という記事がありました。中国人が犠牲になった海外の事件を5件取り上げています。

海外にでかける人の数が増えれば、事故や犯罪に巻きこまれる事例が増えるのは当然のこと。その点では日本も中国も変わりませんが、わざわざ政治的な意味合いで読み解くのが中国メディアならではといったところでしょうか。


1:タイ

今年10月、メコン川タイ流域で、中国人船員13人を乗せた輸送船2隻が武装勢力の襲撃を受けました。13人全員が死亡する大惨事となりました。
(関連記事:「中国人13人を殺したのは誰か?タイ軍は河賊Nar Khamの仕業と指摘―タイ 」2011年10月12日)


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2:日本

これが2番目の事件かとびっくりしました。昨年の尖閣諸島沖中国漁船衝突事故ではなく、その後に田母神俊雄氏らを中心とするデモが実施されました。その時、デモ隊の前に立ちふさがった中国人旅行者が警察に連行されたという一件です。2番目に持ってくるあたりがさすが中国官制メディアといったところでしょうか。

*2011年10月17日追記
コメント及びツイッターでご指摘いただきましたが、写真の人物は日本人の活動家とのこと。中国メディアではまだ「勇気ある中国人旅行者の行動」として認知されているようです。私も存じ上げなかったので、あまり人のことを言えませんが(Chinanews)。

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*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきも」の許可を得て転載したものです。


3:フィリピン


昨年8月、フィリピン・マニラで起きた事件。元警察官の男が香港人観光客25人が乗ったバスを乗っ取りました。警官隊の手際の悪い突入により、乗客8人が死亡する大惨事に。遺族はフィリピン当局に謝罪を求めており、メディアもたびたび取り上げている事件です。謝罪がないことにこだわるのが中国的と言いましょうか。この事件が2番目だと予想していたのですが。
(関連記事:「<フィリピンバスジャック>中国ネチズン怖い……ジャッキー・チェンのたわいもない「失言」をよってたかってバッシング」2010年8月27日)

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4:フランス


今年5月、パリで中国人を狙った強盗事件が起きました。暴力を振るわれた被害者は意識不明の重体に。パリ在住華人は安全を求めて抗議活動を展開しました。写真はその様子です。また、昨年4月にルーマニアで中国人の経営する商店が撤去された事件、昨年5月にニューヨークで米国滞在2カ月目の中国人留学生が強姦された事件、モスクワやドイツにおける外国人排斥運動も一緒に紹介されています。

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5:聖火ランナー

パリでの北京五輪聖火リレー中の事件です。チベット暴動への抗議として聖火リレーの妨害活動が各国で展開されましたが、写真は有る男性が女子車いすフェンシング選手の金晶さんから聖火を奪い取ろうとした一幕。金晶選手が身を挺して聖火を守ったとして話題になりました。事件をきっかけに中国ではフランスに対する抗議デモが起き、仏系スーパー・カルフールに対する不買運動も起きました。

事件を列挙する中にさらっとこの事件を入れてくるのがなんとも中国。

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物事の多面性


「写真で見る、中国人が海外で遭遇した悲惨な出来事」というタイトルが与える印象とは違い、中国の政治的主張、モノの見方が色濃く反映された記事となりました。

チベット問題をきっかけとした聖火リレーの妨害にしても、中国にしてみれば少数民族の独立運動はどこでも起きていること、中国だけが批判されるいわれがないと主張しています。
(関連記事:「形を変えた暴力テロだ」中国政府、相次ぐ焼身抗議を激しく非難―チベット(tonbani)」2011年10月14日)

立場や視点でモノの見方が異なるのは当然のことではありますが、中国の方にも自分とは違った見方があるという想像力を持っていただきたいなと思いました。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきも」の許可を得て転載したものです。


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 コメント一覧 (4)

    • 1. とっくめ
    • 2011年10月16日 09:00
    • なんというか、いつも通りですね。被害者意識を煽りナショナリズムを高揚させる目的は何でしょうかね? 内政の不満を外国に向けるのはいいですが、そのうち世論に押されて対外軍事行動に走らざるをえなくなるのは中共は心得てるはずですが…
    • 2. Chinanews
    • 2011年10月16日 09:22
    • >とっくめさん
      おっしゃるとおり、煽りすぎは危険だと中国当局もわかっていると思います。
      この記事ぐらいのネタは「煽りのうちに入らない」「通常運転」って感じなんじゃないか、と。武装勢力の襲撃とデモ妨害が同列に並んでいる世界観には、ちょっとため息ですね。
    • 3. bosi
    • 2011年10月16日 16:51
    • この2番目の写真の人って中野かどっかの反原発運動の
      主催者にいた左翼活動家の人ですよね。2chで晒されてた人
    • 4. Chinanews
    • 2011年10月17日 09:59
    • >bosiさん
      コメントありがとうございます。レス遅くてすいません。
      ということは、デモに立ちふさがった人は中国人旅行者ではなく日本人ということでしょうか。うーん、中国ではもう「勇敢な中国人」認定を受けています……。

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