■飛行学校と同性愛■
中国では同性愛について日本以上に保守的です。そうした現状を感じさせる記事が『
環球網』に掲載されていました。「曝民航飞行学院男男接吻被停飞
校方称未处理」(男子学生同士のキスが発覚、民航飛行学院は飛行停止処分に=学校側はまだ処分していないと主張)というタイトルです。
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環球網の報道。
この写真がマイクロブログを発端として、ネットの話題となりました。あっという間に身元が特定され、民航飛行学院の学生であることが明らかとなっています。環球網によると、ネットの反応は罵倒する者も祝福するものもいたそうですが、それぞれどの程度の割合だったのでしょうか。
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。
■学校が下した厳罰
写真がマイクロブログで広がったのは9月15日のこと。その約1か月後の10月8日になって、事態が急変します。
写真の3人が学校から飛行停止処分を受けた。もう一生パイロットになることはできなくなってしまった。さらに、档案(個人の経歴すべてを記した公文書)にも同性愛と記載されてしまった。
と、あるネットユーザーが書き込みをしたのです。この書き込みは多くのコメントを集めました。「どうしてこの写真をネットに流させたのか。たんなる悪ふざけだったかもしれないのに」という意見もありました。
そして、10月11日に3回目の書き込みがありました。飛行停止処分は文書で通達されたものではなく教師が口頭で伝えたこと、学校が10月を風紀強化月間にしたとの内容です。この書き込みも多くのコメントを集めましたが、大半は学校の処分が厳しすぎるのではないかとの意見でした。
ただし、「問題は制服だ。個人が何をしようがかまわないが、制服を着ている以上はその組織を代表する存在となる。ナースがナース服を着てこのようなことをすれば、異常だと思うし処罰を受けてもしかたがないだろう」という意見もありました。
■記者による取材騒ぎが大きくなったためマスコミが学校を取材したのですが、学生によると、学校側は制服で学校が簡単にわかってしまったことなどについて、「悪ふざけだろうが関係ない、前代未聞の事態だ」と激しく怒っていたそうです。写真の学生は2009年9月の入学。すでに3年生だったのですが、飛行停止処分という厳罰を科したこと。飛行停止処分を受けた後にパイロットになれたケースはないと、学生は取材に答えています。
ところが学校広報は「まだ処分は下していない。学校は事件を重視してはいないし、事件が起きた日時もよくわかっていない」との回答でした。学校の共産党組織も「まだ処分されていない。当事者の学生はまだ在籍している。なんらかの処分はあるだろうが、重いものではないだろう」との答えでした。
何がなんだかよくわからない状況ですが、ネットの騒ぎに驚いて厳罰を下した学校が、その後の「処分が重すぎる」という批判を受けて、再度掌がえしをしたのかもしれません。
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。