中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月17日
実際に昨年まで急騰していた中国国内における不動産価格や株価は一転、急落しています。バブルがはじけた様相すら呈しているのです。銀行の貸し渋りも広がり、資金繰りが悪化した企業の倒産ラッシュも始まっています。
■温州市の企業倒産問題
最も深刻な状況にあるのは、浙江省温州市でしょう。ここ数週間、中国中央テレビは温州市における企業経営者の夜逃げや自殺を主要な話題として取り上げています。倒産が増えれば、企業融資の焦げ付きから銀行の経営も危うくなります。
(関連記事:「銀行が絶対に「貸し渋り」できない中国政府の智慧=温州経済対策を読む―浙江省」2011年10月3日)
また、中国企業、外資系企業の工場が集中する広東省も状況はかなり深刻です。温家宝総理は、先週、広州交易会の開幕式に出席しましたが、同時に広州の企業を視察し、企業責任者との座談会にも出席しました。席上、参加者からは政策支援を要請する切実な声が相次ぎました。
■文化体制改革と銘打った「情報統制」
これらの経済問題は「そのほかの議題」として討論される可能性は極めて高いのですが……それを差し置いてまず「文化体制改革」をもってくる理由は何でしょうか。
もちろん字面どおりに見れば、「アニメや漫画など新興文化産業を発展させる」ということになるでしょう。しかし、国が文化を一手に握っている中国の現状では、どうしても「中国共産党の都合のいい文化」しか生み出すことはできません。その意味で、中国の政府報道で「文化」という文字を見たならば、その裏に「情報統制」という意味が隠されていることを読み取らなければならないのです。
■バラエティー番組規制の「うわさ」
情報統制強化の代表的な例が、まことしやかにささやかれている「バラエティ番組制限令」の噂でしょう。
江蘇電視台放送の人気お見合い番組「非诚勿扰」(不誠実な方、お断り)など、日本人が見ても面白い、ハイレベルなバラエティー番組が中国には少なくありません。私もネットで見て、面白いと感心したこともありました。しかし、こうしたバラエティ番組が氾濫している事実を、中央政府は快く思っていないようです。
というわけで、「11月から年末にかけて、バラエティー番組制限令が導入される。ゴールデンタイムに放送できるバラエティー番組が制限され、その代わりに『道徳的かつ内容のある番組』を放送するよう各地方局に要求するだろう」との噂が広がっています。道徳的な番組とはもちろん、中国共産党に都合のいい社会主義色が濃く、そして一般市民は興味のない番組なのでしょう。
政府報道宣伝関係者は噂を否定していますが、果たしてどうなるかは6中全会の結果如何にかかっているといえます。
■微博対策に関する発表も?
また、以前の記事でもお伝えしたとおり、現在中国政府は市民の情報取得手段としての「ミニブログ」の台頭に強い警戒感を示しています。
(関連記事:「情報公開の「一元化」を重視する中国政府」中国語翻訳者のつぶやき、2011年9月7日)
政府は現在も、「デマが流れる可能性の高い」ミニブログの「危険性」を中央テレビで繰り返し警告しており、6中全会でこのミニブログに対する「対策」が発表される可能性も十分あります。
とにかくは、18日に発表されるコミュニケを見て、分析したいと思います。
関連記事:
「文化体制改革」が意味するものとは?6中全会を考える―中国
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。