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倒れた老人を助けるのは危険!?せちがら過ぎる世を嘆く中国人(百元)

2011年10月18日

■中国人「倒れた老人を助けるのは危険」■

今回はオタクとは関係ないですが、「中国では倒れた老人を助けるのが危険だと思われているってホントですか?」といった質問を複数いただいておりますので、それについてを少々。
(関連記事:「人助けすると訴えられる中国社会=リスクを避けながら「善行」を積む方法とは?!」2011年か9月7日)

この「倒れた老人を助けるのが危険」という話ですが、中国の社会でも頭を抱えたくなる問題と認識されているようです。このことが有名になったきっかけの一つとして「彭宇事件」というのがあります。この事件、大雑把に説明しますと、

ある青年が目の前でバスを待っていた老人が転んだので助け起こして病院へ連れて行き検査費用まで立て替えたというのに、その老人は転んで骨折したのはその青年に突き飛ばされたからだと主張して損害賠償の訴訟を起こし、しかもその裁判で青年の方が負けてしまい賠償金を支払わされた。

というものです。

これは当時中国社会にかなりの衝撃を与え、その後も類似の事件が報道されるなどしたため、現在の中国では
「倒れている老人を手助けするとロクなことにならない」というイメージが固まってしまっているそうです。

またこれは高齢者の方からしても万一の時に周囲が助けてくれないという非常に難しい問題となっているようで、中国では電動バイクで転倒事故を起こした高齢者の方が「自分で倒れたんだ!私はゆすりなんかしない!」と周囲に訴えながら助けを求めるなんて事件も起こっているそうです。

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揚子晩報の報道。


こういった「倒れた老人」についての問題は、ニュースでの報道などもご参照ください。

人助けすると訴えられる中国社会=リスクを避けながら「善行」を積む方法とは?!(KINBRICKS NOW、2011年9月7日)

街で倒れた高齢者、助けようとしたら善意の声「やめとけば」(サーチナ、2011年1月13日)

私の日頃巡回しているソッチ系の掲示板でもこういった件に関しての雑談を見かけましたので、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。


この間、道に倒れている老人を見て、助けるかどうかで悩んでしまった。その時は私が躊躇っている間に別の人が動いてくれたので、私は後からその手伝いをするだけでよかったんだが、助けるかどうか悩んでしまった自分が何と言うか情けなくて……。


いや、それはしょうがないというか、むしろ悩んでいる分お前は普通に良い人だと思うよ。今の社会だと助けた老人にゆすられるなんてことがあるし、躊躇ってしまったのも理解できる。


スレ主、お前は十分によくやった。俺だったらたぶん120に電話して救急の連絡して終わりにしてしまうと思う。
(訳注:中国の救急医療の番号は「120」です)


俺なら見なかったふりをして通り抜けるわ。


「自分が事故の原因ではない」と証明しなければならないかも……と考えると助けるのは怖いな。自分が正しくても訴えられて必ず勝てるかとなると……。自分には何万元も払うなんてことは無理だし、弁護士を雇ってなんてのも当然無理だから。


裁判になってしまった場合、全く準備なしでその場に出れば潔白を自動的に証明してもらえるというわけではないし、勝つというか負けないための準備が必要になるからな。しかも費用だけでなく面倒な手続きはあるし、時間も取られるしね。


いったい何時からウチの国では「倒れた老人を助けるのは危険」なんてことになっちまったんだろう……。


周囲にカメラが無い状況で「良い人」をやろうとするのはリスクが高い。


「倒れた老人を助ける」ことって、ゆすりのケースの他に、治療費や生活費用の問題があったりするから目の前の金づるになり得る存在に対して全力で来るケースとかがあるからな。ちょっとした善意で助けるのは危険だと思ってしまうのは確か。


ウチの国は人が多すぎるから一人くらい死んでもたいしたことないのかもしれないが、それだけに老人でさえも自分が死ぬラインの上になるともがくのかもなぁ。


倒れた老人がいたら助けない方が良いという現実。小さい子にはこんなこと学んで欲しくないんだが、実際のリスクを考えるとね。


倒れた老人を助けた子供が訴えられたなんて事件もあったしな。学校の道徳教育が現実とは違うのはみんな分かってるけど、さすがにアレはヒド過ぎると思った。


ケガ人に関わらなきゃ費用もかからないんだから無視する。私は別にいい人じゃないし。


ウチの国で最もよく行われる方法「やじ馬になる」を選択させていただこう!


そういや「君が怪我させたんじゃないのに、なんで通報する必要があるんだ?」って言葉があったな。怪我してなきゃちょっと休めば立ち上がれるだろうし、もし怪我しているなら無理に助けて怪我を悪化させてしまうかもしれない。直接の手助けはしない方が賢明だよ。


やはりこの風潮を上の方も気にしているのか、ウチの国の衛生部から「倒れた老人に手を貸す技術指南書」なんてのが出てたっけ。あとみんな気になってものすごい勢いでダウンロードしてるのか、一時期なかなかつながらない事態になってたな。


ウチの国の爺さん婆さんは本当に恐ろしい。ちょっと助けただけで数万、数十万元、しかも裁判付き。誰が助けようとするかよ。


私は120の救急電話だってやりたくない。結局最後には「もしお前がやったんじゃなければ、なんで電話したんだ?善意とかありえないだろう」とか言われかねない。


その場から離れて誰かの携帯借りて120に電話するのがいいということだな。


私は今の所そういうヒドイ話に出会ったことは無いから助けるよ。でも、まずは周囲の人に証明する写真かなんかを取ってもらってからだね。あともし動けないとかだったら120への連絡は必ずする。専門知識が無い人間が手を出したら問題にされるだろうし。


直接の手助けがヤバイんなら、もういっそのこと「何か遺言はございますか?」とでもやった方が良いんじゃね?


やはり無視するのが安全か……正直そんな選択はしたくないから、そういう場面に出くわさないことを祈ってしまう。


まぁ、今の社会だと120に電話するくらいが無難なんじゃないかな。もっとも、ほぼ引きこもっている俺にとって、そんな危険に遭遇する心配は無いんだが!

とまぁ、こんな感じで。目の前で倒れている老人がいたら手助けするべきだと思いつつも、もしかしたらというリスクを考えてしまうと、動くのを躊躇してしまうようです。

ちなみに、この「訴えてくる」というケース、いわゆる当たり屋的なものだけでなく、ケガをしたことによる生活苦からくるものも少なくないという話があります。

現在の中国はものすごい勢いでインフレが進んでいます。またそれに合わせて給料もある程度上がっているとはいっても、既に退職したり一線を退いていたりすることの多い高齢者の場合、その高騰した給料の恩恵にあずかれる人間は少なく、生活はかなり厳しいものとなっているそうです。

インフレによる生活苦や、周囲に頼ることのできる人間がいない、そして医療費もどんどん高額になるのに保険制度も年金もあまり助けになるようなものではないという状況です。そういったことから、倒れて怪我した老人の方は後が無いのでそれこそ「必死」になって巻き込みにかかってくるのだとか。

そんな訳で、

「現在の中国社会を見た場合、実際に訴えてくる可能性が無きにしも非ず」

「下手に手を貸して関わりを持ったら大変なことになる」

などと思われているそうです。なんともやりきれない話ですが、じゃあどうすればいいのかと言われると具体的な方法もなかなか無いというのがまた……。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。



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