中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月19日
チョコパイ・北朝鮮での人気(Wikipedia)
・ 韓国が北朝鮮支配地域内に設けた開城工業団地で北朝鮮労働者の間食として配給され人気があるという。
・韓国映画『JSA』で、北朝鮮軍兵士がチョコパイを欲しがるので韓国軍兵士が与えたり、韓国軍兵士が北朝鮮軍兵士へ南への逃亡を誘う理由にチョコパイを腹いっぱい食べられると言う場面が描かれている。
朝鮮人たちの「チョコパイ」(ブログ「北朝鮮問題」)
『朝鮮日報』の記事は、韓国の企業が開城工業団地に勤務する北朝鮮労働者のおやつに“チョコパイ”を出したところ爆発的な人気で、こっそり家に持ち帰る者がいたり、開城工業団地から持ち出された“チョコパイ”が北朝鮮全域でひそかに取引されているといった内容であった。「チョコパイ1個が労働生産性を左右する」という流言まで紹介されている。
北朝鮮の貨幣改革後、北朝鮮貨幣が消える?(中央日報)
一般住民の間で中国人民元の使用が広まっていることを確認した。規模が大きい北朝鮮国営食堂や商店までも人民元で決裁しているという。住民に売れている物は中国産のビール・焼酎・ガム、韓国産のチョコパイなどという。
北朝鮮の労働者が欲しがるチョコパイ(ブログ「Cool Cool Japan!!!」)
朝鮮日報によれば、ある企業の関係者は、「最初はチョコパイを1個ずつ配っていたが、ごみが出なかったことから考えると、子どもに与えようと食べずに持ち帰っていたようだ。そこで次からは2個ずつ配った。今では4個ずつ配っている企業もある」と語った。今や北朝鮮の労働者の間では、「チョコパイ契(頼母子講に相当)」なるものも存在する。チョコパイを食べずに集めておき、順番を決めて一人が数十個を持ち帰り、家族で分け合って食べたり、知人にプレゼントすることもあるという。
■おやつのチョコパイは1人につき1日10個、被災地に192万個のチョコパイ支給
2011年10月19日付韓国聯合ニュース中国語版によると、開城工業団地でのチョコパイ人気にかげりが見えているとのこと。今夏あたりから、北朝鮮側代表より「パイは要らない。金をくれ」との要求が突きつけられているそうで。韓国企業側はこれを敢然と拒否。
「チョコパイは生産性を高めるために供与されるおやつである。現金を支払っては給与になってしまうではないか」というのがその言い分。まあ、その通りなのですが、「生産性を高めるために供与」とか言われると、「チョコパイがあれば不眠不休で戦える」的なイメージになるのですが、いかがなものかと。
ちなみに韓国企業によるチョコパイ支給はどんどんパワーアップしており、毎日3~4個支給は当たり前。10個近く支給する企業もあったとか。この数だと当然持ち帰るのを前提としているわけで、もはや従業員向けおやつではないような気もします。「いつ紙くずになるかわからない北朝鮮ウォンよりも、チョコパイのほうが信じられる。チョコパイこそ富の証なのだ」と通貨代わりになっていたんだじゃないかと妄想。
また、開城工業団地以外でもチョコパイ拒否の動きは広がっているようです。韓国政府は水害被災地に192万個の支給したそうですが、北朝鮮政府からは「なんで米じゃなくて、チョコパイやねん」と不満を伝えられたようです。
■北朝鮮政府、「資本主義の象徴」であるチョコパイを警戒
「さすがにチョコパイ食いあきたぜ……」「次はしょっぱいものが食べたい」という話なのかと妄想していましたが、聯合ニュースに掲載された専門家の分析ではそういう話ではないようです。
曰く、「北朝鮮政府はチョコパイに対してきわめて敏感になっている。このチョコパイという名の資本主義のシンボルが北朝鮮体制に望ましからぬ影響を与えるのではないかと懸念している」のだとか。
開城工業団地で従業員に供給されるチョコパイは月600万個(!)。それが北朝鮮国内をぐるぐると流通しており、北朝鮮国民はチョコパイの包装に書かれた韓国語を見れば、「原産国:韓国」だと分かってしまいます。また韓国メディアもチョコパイ人気を鼻高々で報じており、「チョコパイ革命やで~」と自ら「チョコパイは資本主義の走狗であります」と宣言していたことも問題になったようです。
やー、ここまでくると、「北朝鮮国内ではウォンに代わる新たな通貨チョコパイが流通していた」という私の妄想もあながち間違っていないんじゃない?!こりゃもう、自由主義陣営はがんがんチョコパイを密輸して、北朝鮮経済を乗っ取るしかありませんね。