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2011年10月20日
人権団体は四川省とその周辺において、すでに9人の僧侶と尼僧が焼身自殺したという。ンガバの街とキルティ僧院はチベット文化侵害に対する怒りの積み重ねからくる発火点となっている。
(関連記事:「「チベットの連続焼身自殺はダライ・ラマ支持者の扇動だ」冷淡すぎる中国外交部のコメント(tonbani)」2011年10月20日)
防護盾と鉄の棍棒で武装した警官たちが街の通りに列を組んで並んでいる。街の人口は約2万人、そのほとんどはチベット族である。彼らは自分たちの文化は中国政府により侵害されているという。
迷彩服を着、自動小銃、スパイク付きの鉄製棍棒そして消火器を持った軍隊の大きなグループと、警察のバス、トラックや装甲兵員輸送車が道路を閉鎖している。
ンガバの道筋の商店や飲食店は営業し続け、人々は日常の商業活動を行っているように見える。しかし、警官は街を出入りするすべての車両を検問しており、車は徐行しながら進んでいる。
AFPのレポーターはキルティ僧院の中に入ることはできなかったが、中には赤い衣を着た僧侶が行き来し、外には(武装)警官隊の大きなグループが駐屯しているのを目撃した。
Tibetan-nunキャンペーングループであるFree Tibet とthe International Campaign for Tibet (ICT)はかつてこの僧院には2000人以上の僧侶が暮らしていたが、いまではその数は1000人にも満たないほどに減少しているという。
彼ら(キャンペーングループ)はこの数ヶ月の間に何百人もの僧侶が僧院を離れ、その中のある者たちは当局により「愛国再教育」を受けるために連れ去られたという。そして最近連続する焼身自殺は彼らの絶望的感情の現れであるという。
中国にいる多くのチベット人たちは、この国の多数派である漢族による支配が益々強まることを見て怒りを感じている。この地域に対する最も激しい弾圧は若いキルティ僧院僧侶プンツォクが3月に焼身自殺し死亡した後に始まった。2008年3月ラサで勃発した、20年間でもっとも血なまぐさい、反中国暴動の3周年記念日に彼は焼身自殺した。
彼の死はンガバとンガバ県として知られるその周辺地区における大きな抗議活動を誘発した。先月中国はプンツォの焼身自殺を手助けしたとして3人の僧侶を10年から13年の刑に処した。このことは国際的非難を浴びた。
(関連記事:「殺人罪で起訴された僧侶3人に10年超の懲役=プンツォ僧侶焼身自殺―チベットNOW」2011年9月1日)
それ以来この街に入った外国人ジャーナリストは皆無に等しい。今回AFPレポーターは警官に一時拘束された。警官はカメラ一台を押収し、警官と軍隊が映っている写真を削除した。
「風景写真はいくら撮ってもいいが、このような写真は撮ってはならない」と一人の警官が言った。「もう立ち去ってもいいが、ンガバ県を出るまでは立ち止まってはならないぞ」
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【閲覧注意】抗議の焼身自殺を行ったノルブ僧侶=警官隊に囲まれた中、荼毘に付される―チベットNOW(2011年8月19日)
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*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。