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【カダフィ死亡】酷たらしい遺体写真をトップで伝える中国メディア=リビア利権争い始まる

2011年10月21日

2011年10月20日、リビアの国民評議会はカダフィ大佐が死亡したと発表した。カダフィ大佐の出身地にして最後の拠点だったリビア中部の都市・シルトも陥落。「アラブの春」から始まったリビアのデモ、内戦は約8カ月でひとまずの結末を迎えた。


■中国メディアとネット民の反応と遺体写真、そして宮崎あおいとMCハマー

「大佐の死」を伝えるニュースは、日本同様、中国でもトップニュースとなっている。中国のマイクロブログ・新浪ウェイボーでは「カダフィ死亡」が最大のホットトピックとなった。ふと気になってツイッターのトレンド(日本)を見てみると、トップは「宮崎あおい離婚」(21日午前4時半時点)。カダフィはランクインしてなかった……。トレンド(世界)を見てもカダフィはなし。なぜかMCハマーが入っているし!なんかグーグル対抗の独自検索サイト「WireDoo」を立ち上げると話題になっているそうで。まじか?!(CNN

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*画像は鳳凰網の報道。反カダフィ派兵士が携帯電話で撮影した大佐の遺体。リンク先にはAFP配信の写真10枚が掲載されている。グロ注意!


閑話休題。上記写真に代表されるように、中国メディアは衝撃的な遺体写真をでかでかと掲載。「喜ぶリビア市民」「カダフィ大佐が隠れていた穴」を紹介するぐらいの日本メディアとは好対照だ。というわけで、中国メディアの報道もウェイボーの反応も「うぉっ、カダフィ死んだ」「遺体写真、すごい……」というものが中心的だ。


■中国がリビア内戦でありえないぐらい失敗している件

リビア内戦と中国については本サイトでも何度か取り上げてきたが、中国政府は微妙な立場に追い込まれてきた。

2月26日、国連のリビア制裁決議案に中国は賛成票を投じ、「国際社会と歩調を合わせ、独裁者を批判する」というサプライズを見せた。が、その後、英仏が打倒カダフィに本気モードとなると、「どちらかというとリビア支持」の姿勢に転向。欧米の内政干渉を批判するようになる。カダフィ敗勢が明らかになると、またも態度を変化させたものの、反カダフィ派・国民評議会の政府承認は国連安保理常任理事国の中で最も遅くなってしまった。

さらに9月初頭にはカナダ紙グローブ・アンド・メールに「国連決議案に反して、カダフィ派に武器を売っていた」とすっぱ抜かれる痛すぎる失態まで演じている。

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■ポスト・カダフィ時代の利権争い=「戦勝国」米英仏が中心に

というわけで、中国はなんとも微妙な立場。大事件があると、中国外交部は緊急の報道官会見(通称・エア会見、おそらく記者ゼロの会見のため)をやるが、今回はなし。21日の定例記者会見までに態度を固めるのだろう。官制メディアが評論記事を出すのもそれ以後となりそうだ。

「緊急会見してくれないから以前のネタを貼っちゃうよ!」ということなのか、編集者の全力嫌がらせなのかわからないが、百度ニュースのまとめなどでは、9月7日の「カダフィに武器売ってないデス。リビア関係者と中国軍需企業関係者が会ったのは私的な接触デス」という過去のネタが紹介されていた。

ちょっと面白かったのが第一財経日報の記事。ポスト・カダフィ時代のリビア利権に中国がどれほど食い込めるのかという視点で、外交官・時延春氏のコメントを掲載している。曰く、カダフィ時代にも石油利権にはほとんどありつけず、ちんまりとしたプロジェクトにしか食い込めなかった。ポスト・カダフィ時代も石油利権は欧米企業中心となるだろうが、インフラ再建ではメシのタネにありつけるかもしれない、とのこと。

なんともシビアな感想だが、「戦勝国」米英仏を中心にポスト・カダフィ時代の利権争いはもう始まっている。日本企業もおこぼれをあずかれるのだろうか?


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