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2011年10月22日
■非常事態宣言、発令出来ず=防災・災害救助法を発令
民主党のアピシット首相は、非常事態宣言を出して軍を中心とした強力な支援体制を取るべきだと主張していますが、政府・軍・その他団体などのそれぞれの思惑から、非常事態宣言の発令は行われていません。皆様もご存知の通り、現政権と軍はクーデター以来険悪の仲であり、タクシン派のプゥア・タイ党内部からは、軍が主導権を取る事を懸念する意見が出ています。
■政府、軍の確執が大きな弊害に
また軍は対策が困難な大洪水での失策を軍に押し付けられるのを嫌い、発令に消極的なのではないかと見られています。また観光業界も非常事態令の発令により観光業界が冷え込む事を恐れ、発令を願う工業団体とは意見を異にしている様です。そのような中、インラック首相は21日、非常事態宣言ではなく、あくまで政府が主導する防災・災害救助法を発令しました。
*マティチョンの報道。
関連リンク:
【タイ】首相権限を強化、都内の洪水リスク拡大(NNA.ASIA、2011年10月22日)
軍も非常事態宣言には消極的(バンコク週報、2011年10月22日)
■避難指示のなかった近隣県住民から政府非難の声
昨日21日には先に浸水した6つの工業団地に続きバンカディー工業団地が浸水。また事前に避難指示の無かったバンコク北西隣県のノンタブリー県が急激に浸水したこともあり、地元住民から政府への非難の声が上がっています。
関連リンク:
「警告も避難指示もなかった」(バンコク週報、2011年10月21日)
■違法駐車が避難・救助車両移動の妨げに
また高速道路や橋などの高架に乗用車を違法駐車し、避難車両や救助車両の移動を妨げている事が問題となっています。実は私の住むアパートの立体駐車場にも普段みかけない車が殺到しており、住民が車を止められない事態がおきています。
*マティチョンの報道。
■水道水の安全性懸念の声に「異常があれば通報しなさい」
昨日20日もお伝えしましたが、バンコクの上水道取水場が浸水した事で、水道水の安全を懸念する声があがっていますが、都庁は重ねて上水道の安全を発表しました。浸水した工業団地からの有害物質が、洪水の水流に溶け込んで流れているのではないかとの懸念について、タイ工業省は「危険有害物に対しては管理が行き届いており、危険でない物質についても大量の水に希釈されれば問題ない」と説明。
その上で、工業団地周辺の住民には、異常があれば通報するように注意喚起を行っています。異常があれば……。
*ポストトゥデーの報道。
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関連リンク:
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募金情報:
タイ洪水被害への義援金・募金受付まとめ(メモノメモ)