中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月22日
■6者協議再開に全力をそそぐ中国
なぜ中国は6者協議を再開したがっているのか、私にはちょっとわからないのですが、外交部がわざわざ李克強訪朝のブリーフィングを設けたことからも、その力の入れようがわかります。
余談ですが、6者協議関連でいうと、昨年11月のズッコケニュースが思い出されます。「重要ニュースを発表します」と通知して記者を呼び集めたかと思うと、記者会見した武大偉は「6者協議の緊急協議開催を提案」しただけ。世界中をズッコけさせました。
さて、ブリーフィングについてです。
(参照リンク:張志軍副部長、李克強副総理の北朝鮮、韓国訪問について(中国外交部、2011年10月21日))
通常、事前ブリーフィングは胡錦濤国家主席、温家宝首相の外訪のうみ。呉邦国や賈慶林といった他の常務委員レベルでは、事後報告だけで事前ブリーフィングは行われません。今年6月に習近平がヨーロッパ4カ国を歴訪した際も事後報告だけでした。李克強も以前は事前ブリーフィングがありませんでしたので、今回の訪朝、訪韓が特別重視されていることが分かります。
思えば今年、2011年は中朝外交がきわめて活発でした。金正日が2回、さらに北朝鮮首相も訪中しています。中国側からは上述のとおり、張と戴の訪朝がありました。張志軍副部長の事前ブリーフィングは当たり障りのない内容に仕上がっていますが、李克強訪中は六者協議早期再開が最大の議題となるのでしょう。
■李克強投入は問題解決の起爆剤?それとも……
そういえば、最近姿を見ない武大偉ですが、外交部副部長を辞した後は朝鮮半島事務特別代表として6者協議の議長の任にあたっています。しかし、王毅時代のような成果をあげているとは言いがたいのが現状です。よって、李克強を投入して事態を進展させようという狙いなのでしょう。
ただ、李克強は難問ばかり押し付けられては、何も解決できない残念な姿を振りまくというルーチンを繰り返しています。今回の一件も、さらなる難問を背負わせて引導を渡そうとする習近平さんの差し金なのかもしれません……と与太を振りまいて、筆を置くこととします。
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。