中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月22日
・関連記事
胡錦濤VS習近平、中国共産党内部の党内対決が激化=情勢は太子党有利か―中国(水彩画)
過去に向かって大躍進!革命歌ブームを主導する薄熙来―中国コラム
KINBRICKS NOW 薄熙来関連記事一覧
「経済成長だけじゃなく、再分配強化にも配慮」
「農村戸籍と都市戸籍の一体化改革」
「紅歌(革命歌)キャンペーン」
「マフィア・汚職官僚取り締まり」
「緑化」
「食品安全」
さて、その雑多な重慶モデルの一つのスローガンに、「5つの重慶」がある(百度百科)。薄熙来が就任した翌年に打ち出されたものだが、「宜居重慶」(住みやすい重慶)、「暢通重慶」(交通の便がいい重慶)、「森林重慶」(緑の重慶)、「平安重慶」(安全な重慶)、そして「健康重慶」(健康的な重慶)という5つの目標を掲げている。
まあ、どれも立派なすばらしい目標だが、これだけでは中身がわからない。恐らく政治家すらわからない。結局のところ、スローガンの中身は後付けで作ればいいのだから。
例えば「安全な重慶」は当初、「マフィア・汚職官僚取り締まり」という中身が喧伝されていたが、最近では「監視カメラの設置数増加」という中身がクローズアップされているようだ。2011年10月20日、重慶市対外貿易経済委員会の王毅主任が語ったところによると、市内49万カ所に監視カメラを設置し、「市民の公共安全システムを構築する」らしい(成都晩報)。以前の報道によると、たんに監視カメラを設置するだけではなく、オンライン化を進め、警察がリアルタイムで監視カメラを確認できるようにするという。まさに安全でステキな監視社会が到来する予定だ。
ちょっと面白かったのが、王主任の語る「健康的な重慶」。学校生徒が毎日牛乳を飲むようにする、体育の授業を週2回から4回に増やすという常識的な話はいいのだが、「平均身長を現行の170センチ代から180~190センチ代に伸ばす。あと平均寿命も90歳代を目指す。いずれも数値目標化し、官僚の業績評価に採用する」そうな。
健康ライフの結果としての高身長化は納得できるのだが、身長を伸ばすことが政府目標になるというのはどうも違和感を感じるのだが……。しかも、それで担当官僚の評価が決まるとあっては大変なことが起きそうだ。将来の重慶には、ぶらさがり健康器が氾濫すると予言しておこう。