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2011年10月23日
■超一等地にまで登場した親切な「謎の武装した男たち」
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北京市のビジネス街CBD。外国人ビジネスマンも多いこの地域に北京市電線ケーブル総厰という古い会社がある。その工場を改装し、「尚8クリエイティブ産業園」という名前でオフィスビルとして貸しだしていた。何がクリエイティブなのかわからないが、店子募集の広告を見る限りでは普通のオフィスのようだ。約100社、2000人が働いていたという。
で、例の如く「立ち退きよろしく」という話が降ってきたわけだが、北京市電線ケーブル総厰はOKといっても店子の皆様との間で補償金額でもめていた。今年3月には「3カ月で出てけ」通知が出ていたが、店子軍団は敢然と拒否。7月初頭には水道、電気をストップする城攻め攻撃もかけたが、これにも店子軍団は耐えた。電気がなくてどうやってオフィスワークをこなしていたのか、激しく知りたいところだが、隣のビルから延長コードでも伸ばしていたのだろうか。
困った開発業者を「偶然」にも助けてくれたのが、親切な「謎の武装した男たち」の皆さんだった。2011年10月20日夜21時ごろ、約100人の親切な「謎の武装した男たち」が棍棒やら何やらを手にオフィスビルを襲撃。重機を使って建物をぶっつぶしてくれた。ちょっとした手違いで同ビルの管理人、働いていたサラリーマン3人が負傷している。
夜9時と比較的早い時間なのに負傷者の数が少ないのは残業力が足りないのではないだろうか。ちなみに、この手の「大家ともめていて、いつ親切な謎の武装した男たちが来るかわからないよ」状態の場合には、周りに鉄条網をはりめぐらしたり、武装して泊まり込んだりというライフハックが必要。それをやっていなかったのは、よもや北京の超一等地にまで親切な「謎の武装した男たち」がやってくるとは思っていなかったのではないだろうか。
負傷者がでたということもあって、警察は捜査を開始したが、北京市電線ケーブル総厰は「うちは知らんことです」とコメント。開発業者はノーコメントを貫いている。果たして警察の捜査で、今回こそ親切な「謎の武装した男たち」の足取りをつかむことはできるのだろうか。
確かに、【ホテル ソフィテルワンダ北京】と【国貿橋】の間の敷地が長いこと工事現場のような更地になっていて、その中に【尚8文化ナントカ】っていう建物だけがポツンと建っていた。
てっきり、その建物だけが一足先に完成したのだとばかり思っていたけど、まさか立ち退きに抵抗していたとは……
しかし夜の9時ってまだ早い時間だし、この真向かいには歩道橋もあるから人目に付くとは思うのだけど…その辺りを犯人側が全く意に介していないあたりが恐ろしいなぁ。