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【日中アニメシンポジウム】暗~い日本とイケイケドンドンの中国=鮮明だった勢いの差

2011年10月24日

「2011中国・アニメフェスティバル・映画テレビ週間」のイベント、「中日アニメシンポジウム」を聞いてきました。

オープニングセレモニーには、野田佳彦首相も出席、「日中両国の国民同士がお互いの映像作品に触れ、互いの文化を体感することを強く期待している」「(来年の日中国交正常化40周年に触れ)日中関係を大きく発展、飛躍させ、戦略的互恵関係の一層の深化を実現するチャンスでもある」と強調したとのこと。
(参照リンク:「ドショウ首相、美女にはさまれご満悦」MSN産経、2011年10月23日、「ドショウ」は原文ママ。「日中、互いの文化体感を=「アニメ・フェスティバル」出席-野田首相」時事ドットコム、2011年10月23日)

ですが、シンポジウムはタイムスケジュールが直前で変更されるし、予定時間よりも30分も早く終わるし、動員された(?)専門家ばかりの地味、かつやる気の感じられないイベントとなりました。とりあえず業績作りにやっておいた感が見え見えといいましょうか。

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*画像は「2011中国・アニメフェスティバル・映画テレビ週間」公式サイト


とはいえ、報告はどれも結構面白い内容でした。というわけで、簡単にご紹介します。


■清水義裕(手塚プロダクション著作権事業局局長)

中国での制作子会社「北京写楽」についての発表。現状のメリットとデメリットを話してくれましたが、まずデメリットから話し出すという構成に、早くもどんよりとした空気が……。

・デメリット1 外資規制
中国テレビ局にアニメを売るためには、中国側が資本比率51%以上を握った合弁会社でなければならないという外資規制がある。手塚プロダクションの100%子会社である北京写楽は企画を持っていくことすら許されない。

・デメリット2 人材の流出
当初は動画しかできなかったが、現在では原画まで担当できる人材が育てられるようになった。しかし、すぐに転職してしまうために演出やストーリー作りまで教えられない。人材流失の原因は「給与への不満」。

例えば、現在北京写楽の幹部社員A氏には手取り5700元(約6万8400円)が支払われている。しかし、会社側負担は所得税1300元(約1万5600円)、福利税3200元(3万8400円)こみの計1万200元(約12万2400円)。実に44%が差し引かれている。物価高(清水氏はハイパーインフレと称していましたが)もあり、目先の給与を上げようとどんどん転職してしまう。

・メリット マーチャンダイジング(キャラクターグッズ商品化)での収益
鉄腕アトム専門のアパレルショップ「アストロボーイ」、ファーストフード店のおまけに起用された事例の紹介。北京に法人を持つことで、人民元送金にも有利。

・今後に期待すること 「中国人のための、中国人による、中国人の鉄腕アトムを生み出すために」
検閲基準の明確化と検閲の迅速化を希望。あと、海賊版対策もよろしく。

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中国側の発表で面白かったのは、陳維東氏による中国漫画事情紹介でした。

■陳維東(天津神界漫画有限公司理事長)

・中国漫画、キテます!
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雑誌「知音漫客」「漫話世界」の発行部数は400万部を突破!
「知音漫客」連載の人気マンガ「偷星九月天」など発行部数1000万部越えの漫画も!
うちの会社(天津神界)出版の「四大小説漫画版」の発行部数も500万部越え!世界14カ国で出版!


・携帯漫画がキテいる!
漫画の世界は、印刷→アニメ化→デジタル化という発展段階をたどる。これからの時代はデジタルやで!
デジタルの中でも熱いのが携帯。中国の携帯電話ユーザーは9億人!
空き時間をつぶせる携帯漫画がキテいる!日本のような長大なストーリー漫画ではない、細切れの時間で読む細切れの漫画というスタイル。


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全般的に見て、暗い日本側報告者、イケイケドンドンな中国側報告者という印象。国の勢いの差がそのまんまでていました。

また、中国側報告者が「国の政策的支持により、今が一番イイ状態」と口をそろえて話していたことも印象的。シンポジウムという公的な場所では必ずいう決まり文句といってしまえばそれまでですが、土地の提供、融資や税の優遇措置、補助金など強力な支援策がどかどか投じられているのも事実です。

国家の強力なサポートを受けた「韓流」が日本に大挙上陸していることを考えると、中国コンテンツが日本に襲来する日もあるのではないか、と感じた次第です。


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