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「日本アニメ好き=親日」はウソ!みんな本当は日本をどう思ってるの?―中国(百元)

2011年10月24日

■中国オタク「結局みんな日本のことをどう思ってるの?」■

本を出させていただいてから、中国のオタク事情や中国オタクの様子などについてのご質問をいただくことが増えてありがたい限りです。ただ、中にはこちらの意図がうまく伝わらなかったのかという話もありまして……。
(関連記事:「あの「小日本」たんが表紙!ブログまとめ本「オタ中国人の憂鬱」出ます―中国オタ事情 」2011年1月11日)


■日本アニメ、漫画のファンが増えると親日派が増える?

そんな話の一つに「中国で日本のアニメや漫画のファンが増えると親日派が増えて日本に有利なことをやってくれるんでしょ?」というのがあったりします。

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*当記事執筆者・百元籠羊さんの著書『オタ中国人の憂鬱』。武田ランダムハウスより1365円(税込)で絶賛発売中。

いや、確かに中国オタクの面々は日本に興味をもってくれたりしますし、反日の印象が刷り込まれている中でアニメや漫画を通じて日本のイメージを考え直してくれたりはしていますが、結局は、「それはそれ、これはこれ」なんですよね。日本のためにどうこうとかいうのとは、またちょっと違ったりします。

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。


先日中国のソッチ系の掲示板で面白いやりとりを見かけましたので、その辺についての参考までに、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。

なんだかんだで私達の世代はずっと日本のアニメや漫画、ゲームを楽しんでるんだが、日本に対しての感情はイロイロとあると思う。私自身は歴史については絶対に忘れてはならないものだと思っているし。そこで聞きたいんだが、結局みんな日本のことをどう思ってるの?荒れそうな話題だし、ヘンなのが湧きそうだがちょっと語ってみないか?


正直言って、アニメや漫画に出合う前は日本壊滅しろとずっと思ってたな。今では日本に行ってみたいと思うくらいにはなってる。でも好きか嫌いかだったら嫌いだ。


ぶっちゃけた話、秋葉原以外全部壊滅すればいいと思う。


その感覚、なんとなく分かるわ。でもオタクの知識が深まるにつれ、秋葉原以外にも池袋やアニメスタジオのある場所、アニメの聖地とか、壊れてはならない場所が増えてきている。


アニメや漫画に関して以外、日本に対しては興味ない。でも、あそことの間にはうっとうしいことが多すぎるのは確か。


第二次世界大戦の諸々に対する日本の態度やなんかについては今でも思う所はあるが、どっちかというとアメリカの方が嫌い。日本は国が実質的に作り直しになってるしね。ただ、こういうことについてはどちらも感情的にならずに解決していってほしいと思う。


俺は日本とアニメや漫画は分けて考えてる。だから日本は普通に嫌いだ。


私は日系企業で働いているのである程度日本人とも接触するから、それなりにあの国の実際のイヤな部分を知っているつもりだし、実際日本人の上司はムカツク人間だが、学ぶべきところは学んでもいいんじゃない?仕事へのマジメな態度とか、謙虚さとか。


アニメや漫画を好きだからって日本を好きになる必要は無いだろ。個別に好きなところがあってもいいとは思うけどね。日本が南京大虐殺を認めないってのはいまだに俺は許せん。あいつら人数を口実にして存在そのものを否定しようとするしな。


日本がどう言おうが、あそこで殺戮があったのは変わらんのにな。まぁ、口実を作って認めないのもわからんでもない。日本はアメリカに負けたというのは認めても、中国に負けたというのは認めようとしないんだから。


私の日本に対する感情は複雑だ。何も知らないバカな子供だった頃は単純な「仇」という感じだったんだが、今では違う。アニメや漫画は日本のものだし、そのイメージを俺は強く感じている。しかし同時に日本製品のボイコットをしたいと思うくらいの感情も残っている。


現在は昔と変わってきているんだから、以前のように声高に歴史問題を叫ぶ必要は無いと思う。あと日本人のマジメで謙虚なところは学ぶべきだし、ウチの国の人間にだって優れた所はある。日本を叩くことによって相対的な優越感を自作自演しないでもいいだろうにと思うわ。


うーむ、俺はどっちかといえば日本が好きなんだが親日と言われるのは抵抗があるな。自分が売国奴になったようにも思えるし。


ハッキリ言って政府間や民族間の矛盾や怨恨なんて俺達庶民には関係ないだろ。そんなことやって給料が増えたり物価が安くなったりするわけじゃないんだから。


でも、気分良く暮らしたいのって無いか?日本関係ではいまだに不快なことが多すぎる。俺は日本についてはどっちかと言えば好きだけど、歴史のことは絶対に忘れられない。


日本人は好きだけど、日本政府は嫌いだ。


俺は中国を愛しているけど、争いによるゴタゴタは起こって欲しくないんだよね。日本はいつか行ってみたい場所だし、どうにかならんもんか。


日本か……声優と漫画家とアニメクリエイターとアニメ関連の業務人員と投資家以外は死ねばいいと思うよ。ああそれと、フィギュア欲しいからそっちの方も残しといて欲しいね。


普通に暮らしているとそこまで日本人と接触するわけじゃないし、別にどうでもいいとしか。


俺は日本人の友達いるよ。それなりに仲は良い。ただ、暗黙の了解として抗日ネタだとか中国侵略ネタや領土ネタは無しにしている。背景の文化的に譲れないものはあるだろうけど、そういうのを個人レベルで持ち出しても何にもならんよ。


ウチの国の人間って不思議なことに対日になると民度が下がるという特徴があるからな。この辺はそうそう変わらんだろうなぁ。


親日派と言われるのはイヤなんだよね。そりゃ日本のもので好きなものやもっと知りたいと思うものはあるけど、日本という国が好きなわけじゃないんで「親日」なんて言われるのはアレだ。自分では「知日」派くらいの感覚だと思っている。

とまぁ、こんな感じで。一時期ほどヒドイ訳ではないのですが、中国オタクの面々も日本に対して思うところは常にあるようです。

そんな訳で、「アニメ好きが増えたからといって中国国内で日本に有利な行動をする人間が増える、日本に有利になるよう働きかける人間が増えるということは無い」のではないかと。


■「日本コンテンツへの愛」と「対日感情」は別物


確かに、日本のアニメや漫画が娯楽として中国を席巻し、日本のイメージを大きく改善したというのは間違いありません。私自身、中国の学校に通っていた時にクラスの空気が反日一色に染まっちゃってタイヘンな目に遭ったり、その後今度は日本のアニメや漫画、ゲーム等の娯楽に染まり、日本のオタク関係の知識を持つことによりヒーローとなったりということを体験しています。

しかし、日本のアニメや漫画、ゲームが好きになっても、それで日本を嫌う感情が消え去るわけではなく、多くの中国オタクの中では、「日本のアニメや漫画を好きだという感情」と「日本が嫌いだという感情」がごく普通に共存していますから、その辺は分けて考えるべきかと思います。

また、日本のアニメや漫画が中国で広まった理由の中には「政治的に色がついていない」「政治的に危なくない」
娯楽だったということもありますし、ファンによる政治関係の方への動きというのはほとんど出ないんじゃないかと思います。


■「親日」かはともかく、「知日」は着実に増えている

ただまぁ、アニメや漫画で親日な人間が増えたかどうかは分かりませんが、「知日」な人間は着実に増えています。

今の中国の若い世代はオタク関連の話題には食いついてきますし、そういった話題を通じて日本に対しても単純に「悪い国」「嫌いな国」と決め付けずに、イロイロと考えるようになっています。以前の愛国主義教育で反日一色に燃え上っちゃっていた、まったく話にならなかった頃から比べると、なんだかんだでずいぶんと良い状況になっているとは感じます。

国や政府レベルでどうこうということに関してはともかく、交流や話のネタにするくらいであれば、アニメや漫画などのオタク関連のものも少しは役に立つのではないでしょうかね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。ただ、今回は荒れそうな話題なので、できればお手柔らかにお願いします……。

関連記事:
反日感情燃えたぎってますか?中国のギャルに聞いてみた―中国人民は日中対立をどう見ているのか?<1>

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。

 コメント一覧 (3)

    • 1. 八咫烏
    • 2020年12月23日 17:21
    • 僕が思っていた通りの意見でした。
      矢張り外国の方、特に中韓では日本の漫画アニメゲームといったオタク文化は好きだけど、日本という国は嫌いなのですね。
      日本や日本人は嫌いだけど、日本の漫画アニメゲームやそれを作り出している一部の日本人は好き、というのも矢張りな、という印象です。

      僕は彼らと同じく摂取する側の人間なので、彼らからしたら自分は嫌われている存在なのか、と苦笑してしまいますが、僕自身、外国の文化に興味や好意を抱いていてもその国を好きかと言われたら別に好きではないので気持ちはわかります笑。
      しかし、僕自身はその外国の方相手に何もしていないのに、自国や自分達、正しくは自身の属する民族を過去の政治的問題から一方的に嫌ってくる相手のことをどうして好きになれましょう。
      外国の方が日本や日本人を否定することで、万が一彼らの好きな日本のクリエイターたちがその国や人々を嫌いになったら、とは思わないのでしょうか。
      (まあ有名クリエイターになればなるほど世界中にファンができ、上記のようにクリエイター自身のことを愛するファンが世界中にいると思うので、国によるファン差別や、特定の国を嫌悪するような発言などもしないでしょうけれど。
      自身の影響力や炎上も理解されているでしょうしね。)

      過去の日本が犯した過ちを否定する気はありませんし、いまの日本の政治を褒める気はありませんが、今を生きる者同士、憎みあわず、政治は抜きにして、日本のオタク文化やそれを作り出す人だけを肯定するのではなく、日本という国や外国の方と同じようにオタク文化を摂取する側の日本人にも寛容になって欲しいなと思います。
      綺麗事だとは思いますが、国や歴史で偏見を持つのではなく、今を生きる人と人とで向き合うべきだと言いたいです。
    • 2. 八咫烏
    • 2020年12月23日 17:24
    • 続きます。

      日本のオタク文化は日本人が作り出しているのだから、どうしても日本文化が入ってしまい、それを批判する外国の方もいると聞きます。
      そのように日本を嫌悪していては、真に日本のオタク文化を楽しむことはできないでしょう。
      日本のオタク文化に触れるたびに日本独自の部分を見つけてしまい、その度に怒っていては疲れるでしょうし、純粋に日本の漫画アニメゲームを楽しめていない印象です。
      自分が楽しむために摂取しているコンテンツが、自分の怒りの火種にもなりうるなんて、悲しいでしょう。

      「こっちも好きで怒ってるんじゃない。日本文化が映り込むのが悪い。そもそも日本を連想させるものが出てこなきゃ良い」
      という意見もあるでしょうが、表現の自由は故意に相手を傷つけるものでない限りは適用されるべき権利ですし、そういった意見は、嫌いな一般の日本人ではなく、自身の好きな漫画やアニメを作っている日本人クリエイターに言うべきことです。

      いくら日本と日本のオタク文化を切り離していても、日本人がその文化を作り上げているのですから、否応無しに日本らしさが垣間見えます。
      そして、日本嫌いという感情がある限り、シコリが生まれ、楽しいという感情が途端に怒りに変わるでしょう。

      「日本が謝れば済む話。そうすれば我々も許してやる」それは一般の人ではなく、日本政府に言うべきことです。
      もしくは自身の好きな日本の漫画家やアニメイター、ゲーム開発者にでも言えば、彼らは影響力があるので少なからず反響はあるでしょう。
    • 3. 八咫烏
    • 2020年12月23日 17:27
    • 続きです。これにて最後です。

      好き嫌いは個人の自由ですし、同じ日本人でもクリエイターだけが優遇されるのも、自分の好きなものを作り出してくれる人だから、というのは分かります。
      ただ、そういった思考は国を問わず共通で、我々日本人も、とある国の文化は好きでも、その国が自国や自分たちを嫌ってくるのなら、その国や人々を嫌いになります。
      自分を嫌ってくる相手を好きになど慣れない、むしろ嫌いになる、それは上記した外国の方同様、日本に関わらず、どの国の人々も同じでしょう。

      これは全ての人に当てはまることです。
      だからこそ、過去に囚われず、純粋に日本のオタク文化を楽しむためにもお互いに組み合わずにいられたらなと思います。隣国なら尚更ですね。

      漫画アニメゲームの中心が今のところは日本である以上、どうしてと日本との切り離しは不可能ですし、お互いの今とこれからの未来に向けて、前を向けたら良いですね。

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